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コラム「穴が空くほど読む」
『ひまつぶ新聞』をご購読の皆さま、こんにちは。全国的に梅雨空の日々ですね。
こうもすぐれないお天気が続くと、地球見ごたえランキングナンバーワンの「空」もどんよりと曇って変化がなく、どうしたって退屈な気分になってしまうものです。
人間ってふしぎなもので、同じ「1日中家にいた」でも、雨の日と晴れの日では爽快感や達成感がまったく違うように思います。晴れの日は起きているだけで楽しいのに、雨の日は起きているだけで、どこかどんより。視界に入る情報ひとつで、こんなにも気分が変わるって、ふしぎですよね。
さて、そんな「視界が退屈なシーズン」に私が行っているのが、「穴が空くほど読む」ひまの活かしかたです。
方法はいたって簡単。
「これぞ穴が空くほど読むべき本」と思える作品を心に決め、朝昼晩と読みつづけるのです。1度最後まで読み終わっても、そこで満足してはなりません。また最初から読むのです。何度でも、何度でも、何周でも。
作品選びでは長編を選ぶと、より一層の面白さが味わえます。何日もまたいで読破してはまた読み直し、「もう100%わかった」、そう理解できるときまで、読み続けるのです。
同じ作品を穴が空くほど読むうちに、いくつもの新たな発見が生まれてきます。1周目、2周目と進むほどに、大きな捉えかたから、より細かな捉えかたができるようになるのです。
たとえば設定の緻密さ、登場人物の人間関係、会話の面白さ、描写の美しさ、大人っぽいユーモア、交錯する心情……。
細かな部分まで理解し、自分のものにしていくことで、作者の目線に近づく。そして名作の、名作たるゆえんを深々と知る。
ものを作る人としても、得るものが多い楽しみかた、学びかただと思います。
まあ全部ハンターハンターの話なんですけどね。
(完)
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