占領下の抵抗(注 xv)
xv三島由紀夫は
と言っている。
『濁った頭』や『クローディアスの日記』のような異様な作品を書いた志賀が、このような「知識人」に該当がいとうするとは、私には思えません。
『行動学入門』[68]所収の「革命哲学としての陽明学」の中で三島が大正教養主義に触れた箇所で、武者小路実篤と志賀直哉を並べているのはは不当なことに思えます。武者小路と志賀は共に白樺派を代表する人物ではありますが、全く資質の異なる作家であると思います。
ただ、柄谷行人が「双系性をめぐって」の中で
と述べている通り、志賀の作品もまた大正という時代を反映しているとはいえるのかもしれない。
そして、柄谷行人が
と述べているように、大正教養主義の元祖の1人である西田幾多郎にも、三島の云う
とは異質な側面があったのかもしれない。
引用文献: 「〈戦前〉の思考」柄谷行人
1994.2.1.第1刷
1994年4.10.第4刷
発行所: 株式会社 文藝春秋
この記事は↓の論考に付した注です。本文中の(xv)より、ここへ繋がるようになっています。
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