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わたぼうしの詩

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2021年6月の記事一覧

夢輝くとき

夢輝くとき

君のぬくもり感じながら
この頬にくちづけしている時でも
歴史という大きな流れの中で
何処かで 今も誰かが死んでいる
悲しすぎるね
立ち尽くし その人たち思い
ただ祈ることしかできないなんて
でもこんな小さな望みだけど
ひとりひとりが持ちよって
ひとりひとりがつなぎ合えたなら
きっと明日が見えてくるはずさ

あぁ 夢輝くとき 花はやさしさ生み
そぅ 夢輝くとき 風は愛を運ぶから
さぁ 夢輝くとき 人

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両手の譜(うた)

両手の譜(うた)

右手は父ちゃん 左手は母ちゃん
両手あわせて 僕になるの
父ちゃんの手はごつい
僕の頭つかんで 動きはらへん
焼き芋の皮むく 母ちゃんの手は
短い指やった

小学5年の春 療養所に入る朝
母ちゃんが そっと握らせてくれはった
50銭玉は ぬくうぬれとった
そして40年 父ちゃんも母ちゃんも
死んでしもた
50銭ものうなったけど
母ちゃんの手のぬくもりは覚えとる

父ちゃんは右の手 母ちゃんは左の手

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あかんこ

あかんこ

のびないとかのびるとか
人のこと
植えた野菜みたいに 話さんとって
ええやろ うんとうんとあかんこかて
おもいっきり
うんと楽しく生きていっても
このままでも その
うんと楽しいんや
暗くなるのは
怒られるからと ちがうんや
あかん感じがするからや

この あかん感じが
悲しく 腹のたつ
けたくそのわるい 困りものなんや
少し寂しいくらいなら
がんばれるけど
あかん気持ちには 泣いてしまう
ええか

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いもうと

いもうと

おさない頃 外ではしゃぐ妹を
えんがわで いつも見ていた
べつに うらやましいとは
思わなかった
ただ 妹がへんに気を使ってくれるのが
いやだった
今でも あなたは やさしいわ
でも もう私だいじょうぶだよ
私は 私の人生を
せいいっぱい生きるから
私見かけよりつよいんだから
そう あなたも自分の人生に
くいをのこさないよう生きて行ってほしい

おさない頃 笑顔で話す妹を
母のせなかで いつも見て

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ぼくの作った・・・・

ぼくの作った・・・・

ワンカップの水に 同量の小麦粉
卵を入れて辛抱強く かきまぜたら
玉葱 じゃがいも 車海老
冷蔵庫を総ざらい
震える手で
ぼくの作った天婦羅
パリン パリン パリン
・・・油がはねる
そこらじゅう粉だらけの真白
呆れて笑いころげないで
まぁ 食べなさい

巻きすの上に 海苔おいて
団扇でさました ご飯をひろげたら
かんぴょう そぼろ 高野豆腐
焼きあなごを忘れずに
汗かいて
ぼくのつくった巻き寿司

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私の文字

私の文字

私の文字は フニャフニャ文字
みみずが3匹はってるみたい
古代の アラビア文字みたい
どこかの国の スパイ暗号みたい

あれこれ練習したけれど
エネルギーたくさん使って書くけれど
まだまだ思うように書けなくて
テストの答案用紙も まっくろけ

日本語で書いたら「これ 英語?」
英語で書いたら「これ 日本語?」
笑ってひやかす ひどい母
でも 母の顔はうれしそう

これでも 方程式が解けるよ
書かな

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つのだせやりだせめだまだせ

つのだせやりだせめだまだせ

私と母さんかたつむり
どうしようもないかたつむり
時々背中が重いけど
時にはやりだしつのだして
世間の情報キャッチする
それでもなかなかむずかしい
ふたり仲良く生きてます
つのだせやりだせめだまだせ

やよいと私はかたつむり
家の中でゴロゴロと
時にはやりだしつのだして
車イスで買い物に
世間のことに目をみはり
疲れはてて帰ります
でも しあわせです私たち
つのだせやりだせめだまだせ

アテトーゼマン ブルース

アテトーゼマン ブルース

いつでも どこにいても
おれの首は 止まらない
何をしていようと
この首は いやいやをする
どうしようもないぜ
おれの恐い物は かたい壁
思いきり頭を 打ちつけてしまう
だから おれの頭はいがんでいるのさ
好きで首ふるわけじゃない
おれは病気の アテトーゼマン

いつでも どこにいても
おれの首は 止まらない
何を考えようと
この首は いやいやをする
どうしようもないぜ
おれのつらい事は 止める事

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Dream Girl

Dream Girl

あの娘はバカだよ
かなわぬ夢ばかり追いかけて
人は口々にうわさをするよ
きっと彼女はDream Girl
あの娘はバカだよ
手の届かぬ男にほれたりしてさ
人は指さして笑っている
けれど彼女は Dream Girl

夢見つかれて眠るころ いつも心に風が吹く
そんな時は自分をなぐさめる
今度の恋はかなうわ きっと

あの娘はバカだよ
働くことすらできないのに
人は背を向けて去って行くよ
けれど彼女は

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手の使えない花嫁

手の使えない花嫁

あなたのこと好きだけど
「あきらめます」とあの人に伝えて下さい
小鳥さん
私はあの人を困らせる花嫁になりたくないんです
そうじ 洗濯 料理など
何もできません
手の使えない花嫁は
花むこを 苦しめるだけなんです

私はまちがってました
「花嫁に」とあの人に伝えて下さい
小鳥さん
あの人がこんな私を必要とする花嫁になれるのなら
あたたかい心だけは
だれにも負けません
手の使えない花嫁は
笑顔がいっぱ

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ふたつめの夏

ふたつめの夏

よちよちと たよりなく歩くムスメは
もうすぐ ふたつめの夏をむかえる
強くにぎればつぶれてしまいそうな
手をひきながら ふと思うことがある
この子が大きくなったら どう思うだろうか
手足の不自由な おとうさんを
病気のせいだと わかってくれるだろうか
それとも いやだと はなれて歩くだろうか
まもなくしゃべりはじめるだろう
こちらを向いて笑う 愛し子よ

すやすやと ここちよく眠るムスメは
もうす

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心の薬

心の薬

つらいことがあった時
あなたはどうしてますか
悲しいことがあった時
あなたはどうしてますか
もしかしたら
くよくよ悩んでいるんじゃないかしら

いいこと教えましょうか
いやなことがあった時の
私が発明した 心の薬
いちばん大好きな歌を
大きな声で歌うのです
口ずさむだけでもいい
大きな声を出した方が
ききめはあるわ

歌ってごらんよ ラララ
とても楽しい ドレミ
ホラ いやなことなんか
どこかへい

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お父さんへ

お父さんへ

お父さんトタンの仕事はたいへんですね
雨の日は仕事がないし
不景気で仕事がへるので
ぼくはとても心配です

お父さんぼくのことで困らないでね
ぼくはからだが悪いので
お父さんの仕事はできないけれど
ぼくはぼくで生きていきます

だからお父さん安心して
だからお父さん長生きして
不自由なぼくでも頼っていて

はじめてのコーヒー

はじめてのコーヒー

はじめてコーヒーを入れました
くちにくわえたスプーンで
あなたにのんでほしかったのです
コーヒーカップに少ししか
入らなかったコーヒーを
どんな気持で のんだのでしょうか

コーヒーだらけになった
わたしのかおを
どんな気持で
みていたのでしょうか
はじめてコーヒーを入れました
せいいっぱいの努力をしました
もっとじょうずに
いれたかったのです
また のんでもらえるでしょうか