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何のために働くのか? お金に変わる価値とは
本日は「何のために働くのか」というテーマでお話ししようと思います。
何のために働くか、ですよね。
最近というか今年に入ってから、「何のために働くんでしょうかね?」ということを聞く患者さんがすごく増えました。
何でなんでしょうね、増えましたね、本当に。
20代に限らず、50代、60代の人も同じようなことを言うようになりました。
「何のために働くんでしょうね?」
「何で復職しなきゃいけないんでしょう、そんな嫌な思いまでしてね」
「何のための数字なんでしょうかね」
「お金はそんなにいりますかね」
とか言うようになりました。
僕自身は何のためというのは考えているようで考えていないんですよね。
いや、別に医者だから働くでしょうとか、稼ぎたいから稼いだ方がいいでしょう、とかね。
結構素朴な観点で生きているというか。
■ふとした言葉を聞き逃していた
使命感があるから働くでしょうとかそういう感じだったんだけど、何て言うんだろう、患者さんはそういうことを言っていて。
これも僕の弱さというか腕が悪いからとも言えるんですけど、自分が認知していないものとか、自分が考えたことないものって、意外と患者さんのふとした言葉を聞き逃しちゃうんですよね。
精神科医といえどもただの人間なんです。
自分が思い悩んだことがないことは聞き逃しがちなんですよ。
例えば発達障害のコミュニケーションが難しいとか、それは僕もそうかもしれないけど、遅刻が多いとか、強迫性障害の人が手を洗わずには我慢できないとかね。
共感はできないけれど、知識として知っているからキャッチしやすいというのもあるんだけど、何のために働くの?という疑問は教科書にもまだ載ってないレベルで、本当に臨床の最前線のことだから、僕もキャッチしきれていなかったんですよ。
ただ、今年の4月から医師も働き方改革が始まるんですよね。
働き方改革が始まるのと、弱さを認めていくというか、自分の弱さとか嫉妬、妬みの感情と向き合う必要があるなと思って、こういうことを考えている中で、キャッチできるようになってきたんですよね。何のために働くのかって。
別に無視することはないですよ。
患者さんの話を無視することはなくて、自分なりにきちんと答えていたんだけれども、話を聞いてたんだけども、なんか本当に増えてるなと気づいたのは最近なんですよね。
でもコロナ前後から増えていたように思います。
■過労死の時代、コロナを経て
僕が開業したのは2018年の4月1日で、この時は過労死の時代だったんですよ。
だからめちゃくちゃ働かされていたんですね。
残業100時間なんか当たり前で、長時間働くからパワハラ、セクハラなど色々あったんです。
でも基本的には長時間労働から来るうつ、疲労から来るうつが多かった時代です。
それからだんだん働き方改革が始まって、その当時は「うちの会社は働き方改革なんか始まんないよ、大企業だけでしょと」多くのサラリーマンが言っていたんですけど、進みましたね。
ここからコロナが始まって、効率良く働きましょうということで、発達障害の問題がやっぱり出てきたんですよね。
社会的な事件があって、安倍首相の殺害、宗教二世の問題、ジャニーズの問題で性加害の問題がニュースで取り上げられるようになって、PTSD、特に複雑性PTSDの話題が最近臨床で増えてきているんですけども、そういう風に変化をしていく中で、適応障害のあり方も「何で働くの?」ということが臨床で語られることが増えましたね。
何で働くのかなと。
お金はいらないんじゃないかと思っている人が増えてきましたね。少しずつ。
もちろん結婚していないからとか、独身だからというのもあるし、もうたっぷり稼いだからという人もいるんだけど、お金の魅力をもうみんな感じなくなって。
ちょっと給料が増えるからやりたくない仕事も頑張ってやるか、というのが通じにくくなってるのは、色々な人たちを見てて思います。
■過去と今をつなぐ先にある、結論としての未来
じゃあ何のために働くのか、ということなんですけど、結論は結構単純なんですよね。
自分の幸せのためで。
じゃあ幸せとは何かというと、家族の時間を大事にして、自分の心を疲れない程度にして、自分のやりたいことをやって、やりがいが大事で、趣味とか色々なアイデンティティ、一つのアイデンティティにこだわるんでなくて、色々な複数のアイデンティティを持つということなんですけど、結論ね。
だけど、その結論に到達するにはどうしたらいいのかを問われるというか、考えることが臨床で増えたなと思います。
じゃあ何のため働くのか、やりたいことは何かということを整理するためには、結局ですね、過去。
今だけのことではなくて、やっぱり過去を考える必要があるんですね。
過去が見えてこないとダメなんですよ。
今の最適化だけだとやりたいことは見えてこなくて。
やりたいこととか、どんな人生を送りたいのかというのは、どうしても過去と今のストーリーを通じて、ここから未来が浮き彫りになってくるんですよね。
今の生活の最適化が、未来だというわけじゃないんですよ。
今の生活の最適化の先にあるのは、未来じゃなくてただの今でしかないですね。
今の連続性、現在の連続性でしかないので、過去と今をつなぐ先にある結論としての未来なので、この流れをしっかり考えなきゃいけないなと。
こういう話が増えました。
昔は問題点を解決していけばよかったんだけども、問題点の解決はキリがないじゃないですか。
じゃあどの問題を解決するのか。
過去の問題の中、過去のトラウマの中のどの部分をどれぐらい解決するかというと、やっぱりこのゴールですよね。
ゴール設定が曖昧だとやることいっぱいありすぎる。今も過去も。
なので何ていうのかな、未来を考えなきゃいけないことが増えました。
結局、多様性ということが少しずつ浸透していって、人は人、自分は自分と思える人も増えてきたんでしょうね。
相手と同じことをしたいという欲望が減ってきたからこそ、「じゃあ何すんの?」ということを疑問に思うことが増えている。
後は、そういう時に僕がよく言うのは、自分の過去だけを見ると、やっぱりうまくいかないんですよね。
メンターはいるのか、どんな人になりたいのかとか、心の中で対話するメンター。
心の中であなたが迷った時に会話をするマスター・ヨーダみたいな人ですよね、スターウォーズの。
そういう人はあなたの心の中にいますか?と聞きますね。
じゃあ、このメンターのメンターは誰か知ってますか?そういう話もして。
そうすると、歴史が見えてくるんですよね。
だから、歴史の連なりの中で自分という存在が見えてきたりしていく。
■今の最適化ではなく「美徳」
こういう話をすると嫌われそうですけども。つまり何かというと、「美徳」なんですよね。
何のために働くかとか、何がしたいかというと、自分の欲望とか今の最適化の果てにはなくて、やっぱりこの美徳というか、どんな人間になりたいのか、何を素晴らしいと思うのか、何に価値があると思っているのか、そういうことの追求が必要なんですよね。
お金というものの価値が落ちてきた中、お金に代わる価値は何なのかというと、この「美徳」になるんですけど、この美徳の追求を考えることが問われるようになってきているなと思います。
臨床の中で患者さんたちがだんだんメタ認知を獲得していく中で、美徳について考えることが増えてるんですけど、僕がそういうことができるようになってきたからというのもあるのかもしれないですけど。
でも僕だけの問題じゃなくて、やっぱり世の中の流れ的に本当にこういう風になってきているなと思います。
それは昔とはちょっと違ったし、何かありますね。
だから発達障害の問題も、最初の頃は発達障害とわかったなとか、薬を飲んだらとかトレーニングを受けたら改善するとか、最初の頃はそうだったけれども、やっぱりそこに行き詰まりを感じ、発達障害ではあるけれども、それを受け入れて自分の得意を伸ばすとかやりがいを感じるとか、そういう風に移ってきているというかね。
体質や運命は越えられないんだけれども、そこから先にじゃあ何なのかということを考えることが増えているのかなと個人的には思っている感じです。
今日は何のために働くかというテーマでお話ししました。
■本日の宿題
あなたは何のために働きますか?
あなたが理想とするものは何ですか? 美徳とは何ですか?
素晴らしいと思う人間はどんな人ですか?
ということをコメント欄に書いていただけたら、いい学びになるのではないかと思います。
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