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月刊「ぶんぶくちゃいなノオト」

メルマガ「「§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな」(祭日を除く第1、2,4土曜日配信、なお第2,4土曜日が祝日の月は第3土曜日に追加配信/月ほぼ3回/年始年末は配信お…
中華圏の現地でどのような注目の話題があるのか。必ずしも日本とは関係のない、また日本では話題にならな…
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#中国

【ぶんぶくちゃいな】「香港」の復権

9月、中国と香港を騒がせた、なかなか興味深い事件があった。「美誠月餅事件」と呼ばせてもらおう。

「月餅」というお菓子は皆さん、ご存知であろう。中華圏の月餅とは、日本でいう「お月見団子」的な位置づけで、「中秋節」つまり「中秋の名月」にお月見をしながら味わうお菓子のことだ。だから、日本と違い、1年に中秋節を前にした時期にしか売られていない。

また、中華圏の中秋は新暦ではなく旧暦の8月15日で、やは

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【ぶんぶくちゃいな】なぜ無差別襲撃が続くのか――圧力鍋化する中国

中国人が楽しみにしてきた国慶節連休がそろそろ終わる。

いつもなら政府の定めた休みは10月1日から5日までだが、今年は5日が土曜日なので7日も休み、つまり7連休になる。ただ、その代わりに政府は9月29日の日曜日と、10月12日の土曜日を「出勤日」に定めているが、官公庁や銀行などはともかく、その辺の判断は一般の民間企業ではわりと緩くなりつつある。

自由がきく人の中には9月28日から10連休としてし

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【ぶんぶくちゃいな】蘇る毛沢東時代の悪夢 「次は何を奪われるのか?」

8月終わり、中国のニュースプリに「ソウ鍋売鉄」(「ソウ」は石偏に「匝」)という4文字を引用した記事が出現したとき、筆者はしばらくその文字を眺めてそのままスワイプした。

「ソウ鍋売鉄」(「ソウ」は石偏に「匝」)というのは、「鍋を叩き潰して鉄として売る」という意味だ。ここでいう「鍋」とは日本で一般的になっているアルミやステンレスのそれではなく、文字通りの中華鍋のことである。中国ならどこの家庭にもある

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【ぶんぶくちゃいな】大学新卒1200万人! ますます激しくなる就職戦線の陰で…

8月15日、中国国家統計局は今年7月期の全国都市部の失業率が6月期より0.2ポイント上昇し、5.2%に達したことを明らかにした。統計局は、この上昇は主に大学新卒者たちが就職市場入りしたためだと説明した。

中国の大学新卒者は2021年夏には900万人を超え、22年には1000万人を、そして昨年夏は1100万人を超えた。さらに今年は1200万人を超えるとされており、1年ごとに100万人増え続けている

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【ぶんぶくちゃいな】パリ五輪を通じて見えてきた、 両岸三地それぞれの「生態」系

7月26日に開幕したパリ五輪も本稿執筆時においてそろそろ終幕。2週間前には予想もしていなかったドラマやヒーローが次々に生まれ、新しいスポーツの話題や課題をもたらした。

そこで起きた出来事に口から泡を飛ばして激論した人もいたことだろうが、考えてみるとオリンピックとは政治的な表明は認められていないけれども、4年に1度のタイミングでこうして世相や課題を目の当たりにさせ、少なくともそこで提起された出来事

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【ぶんぶくちゃいな】崩れ去る価値観、なにが香港を支えていくのか

6月に香港を訪れ、その際に気づいた香港の変化、それもあまり好ましくない変化について「香港の『劣化』とそこに生きる人たち」でまとめた。

考えてみると、2019年のデモから今年でまるまる5年。この夏は「香港国家安全維持法」(以下、国家安全法)の施行からさらに4年が過ぎた。この2つの出来事をきっかけにまず選挙や議会制度、そして社会団体やメディアなど、目に見える社会事象の変化が起きた。さらにその後、そん

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240718 【ダイヤモンド・オンライン寄稿】中国はもはや「反日」ではなく「仇日」、蘇州日本人襲撃事件の裏にあった意識とは

240718 【ダイヤモンド・オンライン寄稿】中国はもはや「反日」ではなく「仇日」、蘇州日本人襲撃事件の裏にあった意識とは

出してから超特急で掲載していただきました(笑)。

蘇州の日本人親子殺害事件。その後、続報がないのでちょっと記憶に薄れつつある内容ではありますが、そんな今だからこそもっと俯瞰して見えるものがあるといえます。

この事件が日本で報道されたのが事件発生翌日早朝で、その直後から中国のメディアの動向を、SNSも含めてずっと見ていました。まずはSNSで日本の報道を引用した報告がなされ、ほぼその直後に日系メデ

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240228 【現代ビジネス】寄稿:香港戦「メッシ欠場」で“激怒”した中国...なぜ「3月のアルゼンチン親善試合はキャンセル」という「政治的ポーズ」を取る必要があったのか

240228 【現代ビジネス】寄稿:香港戦「メッシ欠場」で“激怒”した中国...なぜ「3月のアルゼンチン親善試合はキャンセル」という「政治的ポーズ」を取る必要があったのか

2月4日の香港で行なわれた、サッカーのインテル・マイアミと香港選抜選手チームとの試合におけるメッシ欠場から起きた騒ぎの3本目です。

ちょいとしつこいようですが、日本側メディアの報道は、「香港での試合が」で始まり、「中国はー」で終わるお決まりの混乱状態で、何が香港で起き、何に中国がでてきたのか、そしてその関係はきちんと伝えられていないので、別途「中国のご都合篇」として書きました。

報道する側のメ

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240210 【ダイヤモンド・オンライン】寄稿:「カネ返せ!」メッシの試合欠場に中国人が大激怒、でも香港人は薄ら笑いのワケ

先週日曜日(2月4日)に香港大球場で行なわれた、インテル・マイアミと香港選抜チームとのサッカー親善試合が大騒ぎを引き起こしています。事態はまだまだ動いていますが、昨9日までの最新裏話をまとめました。

なお、本日配信予定のメルマガ「§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな」では、その後続情報とこの記事には書ききれなかった、この事件で見えてきた香港及びその経済を巡るさらに深刻な事情、そしてそ

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【ぶんぶくちゃいな】ポッドキャスト「不明白播客」:「白紙運動は終わりじゃない、始まりなんだ」(後編)

【ぶんぶくちゃいな】ポッドキャスト「不明白播客」:「白紙運動は終わりじゃない、始まりなんだ」(後編)

今週は、2023年12月に配信した、ポッドキャスト「不明白播客」の書き起こし翻訳「白紙運動は終わりじゃない、始まりなんだ」の後編をお送りする。

今回のゲストも、2022年12月のコロナゼロ政策撤廃のきっかけとなったとされる、11月末のデモ活動「白紙運動」の際に、中国のネットにアップされたとたん次々と消されていく書き込みを拾い上げたり、直接自分に届けられる書き込みをツイッターに流し続けたアカウント

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231223 【現代ビジネス】寄稿:ミャンマーの山岳地帯にある「巨大詐欺団地」に中国人が誘拐され働かされていた…その数なんと12万人!ミャンマー北部で起きている「驚愕の混乱」と「中国の困惑」

231223 【現代ビジネス】寄稿:ミャンマーの山岳地帯にある「巨大詐欺団地」に中国人が誘拐され働かされていた…その数なんと12万人!ミャンマー北部で起きている「驚愕の混乱」と「中国の困惑」

わたしにしては、ちょっと変わった記事になります。最初に書き始めてから書き上げるまで、約1カ月かけました。とにかくミャンマーという国についての情報を得るためと、やはりあまり馴染みのない国情を調子に乗って間違わないように、と必死にタンミンウーの著作や、ニュースメディア記事を読みまくりました。

ただし、ミャンマー情勢を書いたつもりはさらさらなく、中国に関わる国境地帯で起きている詐欺グループ事件からの発

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【ぶんぶくちゃいな】ポッドキャスト「不明白播客」:「白紙運動は終わりじゃない、始まりなんだ」(前編)

【ぶんぶくちゃいな】ポッドキャスト「不明白播客」:「白紙運動は終わりじゃない、始まりなんだ」(前編)

1年前の今頃、いったいどんなふうに過ごしていたか、覚えているだろうか。

1年前の中国ではちょうど、11月末に新疆ウイグル自治区ウルムチ市のマンション火災で、消火活動が路上のコロナ対策の柵によって阻まれて遅れ、幼い子どもを含む住民が焼死するという悲惨な事件をきっかけに、厳しいコロナゼロ政策に対する抗議活動が起き、それが「白紙運動」となって全国へと飛び火したところだった。

その運動に「白紙」と名付

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【ぶんぶくちゃいな】ガザ衝突と中米首脳会談:中国が抱える危うい「爆弾」

この原稿を書き始める直前に、来月米国で行われる予定のアジア太平洋協力(APEC)会議に出席するため訪米する習近平・中国国家主席とバイデン米大統領との首脳会談実現に向けて、米中両が正式に具体的な準備作業に入ることになったというニュースが伝えられた。

中国がAPECでの米中トップ会談実現を切望し、準備していたことは、すでに6月のブリンケン国務長官の訪中時に重要議題の一つになっていたから、特に「大ニュ

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【ぶんぶくちゃいな】国慶節の国内旅行熱大絶賛のウラに潜む、不動産バブル崩壊の影響

9月末の中秋節から土日を挟んで国慶節に続く8連休が終わった。先週も書いた通り、もっと自由に休みを取れる人たちは10連休という豪華版を楽しんだわけだが、それでもほぼすでに日常に戻った。

コロナの前までなら国慶節連休直後の1週間は、メディアが伝える連休中の経済統計をもとに、企業が今後の消費動向を展望し、11月11日「「双十一 W11」(以下、「ダブル11」)の「ショッピングキャンペーン」や、年末、ク

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