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読んでみました中国本(更新終了)

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※当マガジンは2017年12月末をもって更新を終了致しました。2018年1月からは「月刊『読んでみました中国本』」(http://bit.ly/2zZjM55 200円/月)をご…
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#中国本

【読んでみました中国本】2018年を前に読んでおきたい本

今年の「読んでみました中国本」でご紹介した11冊から、2018年の中華圏を味わうための準備運動として年末年始にお薦めしたい本を再録します。

今年は「中国本」といっても日本語になった小説を取り上げることが多かったことに、自分でもびっくりしました。でも、わざと小説に「逃げた」わけではありません。

以前から申し上げているように、わたしは成人してからほとんど小説を読むまなくなりました。とくに北京時代は

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【読んでみました中国本】真面目な新聞記者による真面目な中国観察記:工藤哲「中国人の本音:日本をこう見ている」

昨年から今年にかけて、中国に支局を持つ日本の新聞社・通信社の記者の帰任が続いている。日本の記者の入れ替えは中国の大きなイベントを見据えてスケジュール化される。中国に慣れた記者がイベントの意味を報道するのが理想だから、イベントが終わると同時に交代するのが一つ。もう一つはイベントの1年ほど前に交代する方法。ときにイベントを挟んで新旧特派員が一時的に二人体制でスタンバイすることもある。

わたしが体験し

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閻連科「炸裂志」:「マジックリアリズム」という形容がぴったり【読んでみました中国本】

我われ外国人にとって、中国にどれだけ長く暮らしても農村は謎の多いところである。ただ、わかっているのは、農村で起き、都会に伝えられる話題の多くが、良くも悪くも「リソース」と「チャンス」の少なさによるものだということだ。

よく知られている話を例に上げるなら、たとえば出稼ぎ。中国の農村部は長い間、変化が乏しく、収入手段も生活習慣も変化に取り残されてきた。一方で変化は都会に降りそそぐ。そんな変化を目にし

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辣椒「漫画で読む 嘘つき中国共産党」:「愛国無罪」なら辣椒こそ無罪だろ!【読んでみました中国本】

SNSで政治がテーマになった時、あるいは昨今では面と向かって、日本でも彼の国でも「そんなに政府に不満ならば、この国から出ていけばいいじゃないか」というコメントがほぼ確実に飛び出す。

「政府に不満なら、この国から出て行け」

民主主義の国では政府は我われ国民が選ぶ。政府ありきの国ではないわけで、政府が気に入らないからといって我われが追い出されるいわれはない。あくまでも国を出るかどうかは我われ自身が

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【読んでみました中国本】わたしたちはアジアの実業家たちの「日常」をもっと知るべき:安田峰俊「野心 郭台銘伝」

【読んでみました中国本】わたしたちはアジアの実業家たちの「日常」をもっと知るべき:安田峰俊「野心 郭台銘伝」

◎「野心 郭台銘伝」安田峰俊(ダイヤモンド社)

とうとうこんな本が出たのか…この「野心 郭台銘伝」を書店で目にした時、そう思った。

郭台銘、テリー・ゴウ。2016年4月、シャープを買収して傘下に収めた、台湾・鴻海科技集団の創設者であり、現総裁である。

日本の企業が海外の資本に買われるなんて珍しいことではなくなって久しい。NHKスペシャルなどでは、ホテルや印刷会社などさまざまな企業が海外資本、

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【読んでみました中国本】塙昭彦「中国人のやる気はこうして引き出せ」(ダイヤモンド社)

【読んでみました中国本】塙昭彦「中国人のやる気はこうして引き出せ」(ダイヤモンド社)

最近、中国で実際にビジネスを展開している人たちから、既存メディアが流す中国情報に対して「何か違う」という声をよく聞くようになった。実際に現場関係者からのメディア設立を持ちかけられたことすらある。「偏った情報が堂々と流れているのを見るのは我慢できない。日本にいる家族ですら誤解している」というのだ。

それは単純に一般にいわれる「メディア不信」とも違う。現地で暮らしたり働いたり、あるいは現地との間を行

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【読んでみました中国本】エドワード・ルトワック・著/奥山真司・訳「中国4.0 暴発する中華帝国」

【読んでみました中国本】エドワード・ルトワック・著/奥山真司・訳「中国4.0 暴発する中華帝国」

昨年から中国関連の翻訳書出版が増えているような気がする。これまで日本で中国ものといえば、「日本と中国の独自の関係」を読み解くものが主流だったが、こうした海外の視点で書かれた本を日本語で読むことで、中国の今の世界的な位置を知ることができる。

というのも、かつては地域ブロックの視点で読み解けば間に合っていた中国事情も、今では世界的な地図の中で読み解くほうが現実的であり、同時にそんな多角的な視点を得る

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【中国本】「真夜中の北京」ポール・フレンチ・著/笹山裕子・訳

【中国本】「真夜中の北京」ポール・フレンチ・著/笹山裕子・訳

読み終わって不思議な気持ちになった。ここにはわたしがまったく知らない北京があった。もちろん、この本のテーマになっている殺人事件についても一度も耳にしたことがなかった。

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