人間とわんこの肥満について
人の肥満に長く携わっていますし、私自身も太りやすい体質なので身近な問題です。
太っている=かわいらしく見える場合もありますが、
ペットにおいてはかわいらしいというよりも大半は飼い主のエゴで形成されてしまったものではないでしょうか?
人間の肥満の定義とは
人間においてはBMI(体格指数)=25以上が肥満と定義されており、
身長・体重からその数値が割り出されます
ただ、この計算式は男女一緒ですので、骨や筋肉量が異なる男女で同一なのは数値としての信憑性もはかれず、腹囲も計測され、内臓脂肪量でメタボリックシンドロームに当てはまるか否かと判断されますし、健診外では体脂肪率はどの程度なのかと総合的な情報で判断します。
わんこの肥満の定義とは
わんこの場合、人間同様にいくつか定義があります。
体脂肪率が
適正:~24%
過体重:25~34%
肥満:35%以上
また、BCSといって Body Condition Scoreという評価法があり、
横から見た状態、真上から見た状態で現在の肥満の状態を判断します。
人間のように気軽に体組成計に乗って脂肪の割合を出すことができないため、見た目で判断する、というものです。
他にRBWといって 相対体重法 という適性体重を100%とした場合、
相対値で判断する方法です
判断値は%で示され、
過体重:+10% 肥満:+20% となります。
「肥満」と肥満症は別でして、「症」とつくほうは病気が潜んでいます。
あるいは、肥満によって発症してしまう病気が潜んでいます
この肥満症になってしまう前段階の「肥満」に飼い主さまは大きく関与しています
あたり前ですが、食べたものを消費できなければ蓄えていくだけなので太ります。
ただ、内分泌異常でもある甲状腺機能低下症など食べ物以外が要因で肥満になってしまう病気もありますし、遺伝性もあります。
比較的容易に把握しやすいのは過剰摂取による肥満ですので、飼い主さまの行動の振り返りが非常に重要となります。
肥満になると何が問題なの?
これは私たちにも身近な話題なので、大方予想がつくと思いますが、
人もペットも同じ病気になります。
肥満が原因で起こる病気は
・糖尿病
・脂質異常症
・高血圧
という、生活習慣病です。これらはわんこにも起こります。
ただ、上記の疾病だけではなく、心臓全般に関係してくる心臓病、肝疾患も出てきます。
行く先は腎臓病です。腎不全を起こしてしまうと、そもそも腎臓は一度悪くなると治りませんから、いかに現状を維持していくかがポイントとなってきます。
また、内臓以外に体格にも影響してくるのが腰に起きる椎間板ヘルニア、膝の痛みで足を引きずるなどの行為が出てきます。
こういった様々な病気を未然に防ぐためには食べ物が大きく影響します。
一日に決められた量以上のごはんをあげていませんか?
しつけのためにおやつをあげすぎていませんか?
体重から1日の摂取目安がどのフードメーカーでも掲載されていますが、現在の状態を見て多くする、減らすの処置は必要となります。
あくま表示は「目安」ですので、太っていくようであればその子にとっては「あげすぎ」となります。
おやつの目安は?
おやつは1日の摂取カロリーの10%内にしましょう。
あげるならその分のごはん量を減らす、おやつも糖分が多いさつまいもをあげ続けるのではなく、たまにはたんぱく質豊富なささみにするなど工夫はいくらでもあります。
そして、食べたら動く、これは基本となります。
人とわんこはまったく異なって見えてしまいますが、
根本の食事の考えは一緒です。
難しく考えずに与えていきましょう。