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Neo classroom 学級づくりの新時代

以前、講座を受けたときに引用されていた「Neo classroom 学級づくりの新時代」。もちろんすでに読んだことはあったんだけれど、改めて何が書いてあったんだっけなと気になり再読した。

これまでの学習指導要領の変遷、経験主義と系統主義の振り子構造などの時代背景も丁寧に汲み取りながら、令和の時代における学級づくりをどのように進めるのかについて、その意味や目的と具体的な実践が書かれている。

帯にもあるが、学級づくりのキーワードとして「秩序」「遊び」「自己選択」を挙げている。一律一斉で教師が引っ張っていく「職人的教育技術者」、教えるスキルを中心とした教師の指導から、子どもたちの興味・関心を引き立てることができるような「教育環境デザイナー」へと変化していく必要性を訴えている。

本の構成は
第1章 教育新時代の幕開け
第2章 令和型新教育観へのアップデート
第3章 秩序
第4章 遊び
第5章 自己選択

とし、著者の学級づくりのキーワードが各章立てとなっている。

おそらく現代の教育観にヒットする人も多く、納得しながら読むことのできる人も多いのではないだろうか。そんな中で、繰り返し書かれているのがハンドリングの話である。

これからの時代に求められる令和型学級づくりのキーポイントになるのが、教師が子どもをハンドリングし、コントロールしようとするマインドを手放せられるかどうかです。

P41

学習者主体の授業や学級づくりに、最も厄介なのがこの「学習者をコントロールしたい」というマインドだ。ここは難しい部分だなと思う。というのも
・自分にはこの児童をコントロールしたいというマインドがどの程度あるだろうか
・そもそもコントロールしようと思って、できるような教育技術が自分には備わっているんだろうか
・活動型授業においても、環境調整型のコントロールと捉えた場合には、コントロールしたいというマインドは手放したと言えるのだろうか
・そしてコントロールしたいというマインドは、本当に手放した方がいいんだろうか
そんなことを考えながら読んでいた。

学級づくりにおいて、組織論や心理バイアス、過去の研究など様々な角度から参照して書かれている。例えばタックマンモデル一つをとっても、カイヨワの遊びの話をとっても、それだけで本が1冊出るような内容だ。
分かりやすい部分や特徴的な部分が参照されているので、つい分かった気になってしまうが、それって本当は何を言っているのか、こういう場面できちんと原典にあたることも大切にしたい。

この言葉に尽きるなと思うことが書かれている。

目の前の子どもたちにとって「子どもの育ち」につながるベストな教育環境は一体何なのかを教師が考え、デザインし、実践していくべきだということを伝えたいのです。

P84

どんな本を読んでもSNSで見聞きした情報も、セミナーを受けても、結局は自分の頭で考えることをしなければいけない。そうした現代の教師の学び方についても危惧を抱きながら、それでも自分にできることを考えて、全国の教師の助力になろうと執筆された温かい一冊なのだろうなと思えた。

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