見出し画像

会話授業にAIを取り入れてみたー準備編ー

ChatGPTについてはずっと情報を追い続けてきましたが、いよいよ使ってみようかなと腰を上げました。ChatGPT-3.5とBardで数時間試行錯誤したみた結果を残して、実際の授業運用を考えます。


授業の目的

前回(日本語教育コースデザイン実践 vol.1)、現状を明文化して課題を見つけ、Can-doをピックアップし、書き換えてなどという作業をしたけど、今その気力はないので、とにかく漠然としたアイデアを形にしてみる。

★現状
・会話能力、スピーキング力にかなりのバラつきがある
上位群は比較的会話が楽に成り立つ
・とはいっても、授業内での文脈と必要性がある会話に限定
・談話については準備すればできる
・しかし、語彙選択・文法にかなりの不自然さと間違いがあるので
・もしかすると、教室外でのコミュニケーションには苦労するかも
中下位群の発話は、教師でもかなりの推測が必要
・教師の簡単な質問を理解できないことが多々ある
全体的に産出能力はA2かな… A2にN2レベルの語彙や文法が混じる感じ

★教師として「こうしたい」と漠然と思うこと
・試験用の日本語から運用する日本語へのマインドシフト
・聞き手の負担が少ない日本語にレベルアップしてほしい
 → 日常的によく使う語彙を、理解語彙から使用語彙へ
 → 基本的な文法をもうすこし正しく使ってほしい

★会話・スピーキングの授業について思うこと
・基本的に学生同士の練習になる
・語彙も文法も適当に押し流して、最後は母国語を使うので、発展がない
・要するに言語形式に意識が向かない
・レベルを抑えて日常的で身近なトピックを設定すると頭も動かない
 (食指が動かないというべきか)

そこで何を考えたかというと、日常的で身近なトピックについて、比較的短い談話を、ある程度自然な語彙使用と正しい文法で話す練習を積んでみたらどうだろうか、ということである。普段、インストラクショナルデザインだとか第二言語習得だとかいっているくせに、実務になった途端に全無視でアイデアを形にしてしまうフシがあることには気づいているが、ARCSでも学んだ通り「労力対効果」というものがある。本当にそこまで時間と労力をかける必要があるのか!否、ない!ない!!というわけで、理論は無視。勉強したことが無意識に反映されることを祈るのみである。

授業案

①学生がAIに談話作成を依頼する
②AIが作った談話を(好きなように編集してもいいので)覚える
③談話についての質問もAIに作成させる
④質問への答えを準備する
⑤(教室にて)ペアまたはグループで覚えた談話を披露する
⑥ペアまたはグループの人にAI作成の質問をしてもらう
⑦質問に答える
*プロンプトは学生がコピペできるものを準備
*談話のテーマはある程度学生が選択できるようにする

まず考えたのはこんなところ。ちょっと変だけど「考える」という負荷を減らしたい。あまり変化のない日常について「何か述べよ」といわれるのは面倒くさいし、言わせようが書かせようが時間がかかり、結果1時間半程度の壮大なスピーキング授業になりかねず、(なぜかわからないが)必要性を見出せない学生がダレることは想像に難くない。さくっとやりたいのである。ま、覚えるというところがさくっとはいかないでしょうけど、そして、学生は覚えて話すというところにやっぱり必要性を見出せず、頓挫しかけるんでしょうけど… 頓挫するな、今はっきり見えてしまった。だからこそきちんと説明をしてと思うんだけど、それでも必要性が伝わらないというのは、ここ数か月の付き合いでよくわかったし。

ま、でもやってみよう(えっ?)

プロンプトを考える

ChatGPT-3.5をGoogleのBardと比較検討しながら、どんなプロンプトがいいのか考える。まず、よくある「趣味について話してみましょう」をやってみると仮定する。

ChatGPT-3.5

ChatGPT-3.5

そもそも「フラメンコ」にするからだろうという声もあるが「だから何ですか?」という文章が返ってきた。

Bard

Bard

内容は似たり寄ったりだが、好印象(私基準)。

ほかのテーマも試してみる。日本でだれかにスリランカについて説明するかも… ということで、はじめにBardちゃん。

Bard

NOTEを残そうと思う前に試行錯誤していたとき、おすすめをリストアップしてきたので「それだけはやめて」という文を書き添える。なんだか内容がかたいので、友達と話している設定でお願いしたら、どうでもいい文になってしまった。しかも、スピーチスタイルは変わっていない。

ChatGPT-3.5

ChatGPT-3.5

友達言葉にしたら、やたらと「よ」が多くて押し付けがましい(私基準)。なんだかイマイチなので、プロンプトというか、テーマを変えてみる。

Bard

日記にしてみた。正直ここまで、相手にとってどうでもいい内容のくせに語彙だけ難しいみたいな印象を受けていたんだけど(まさに学生と同じ)、なんかいいんじゃない?と思う。

Bard

Bardは文章が選べるところも好き。ついでに語彙リストも作ってみた。

Bard

試行錯誤時には英語訳が勝手に出たりもしたんだけど、今回出てこなかったので指示を追加。

Bard

なんか教材っぽくなった。さらに、質問作成を依頼。

Bard

「日本語教師として」という指示が必要かどうかはわからないけど、質問してくれるのは、学習者としても負荷が減ってうれしい。

同じことをChatGPT-3.5でもやってみる。

ChatGPT

まあ、いいかな… ちょっとくどいというか、友達と励まし合いながらトレーニングとかって「あっそ」と言いたくなるけど(私基準)。

ChatGPT-3.5

デフォルトで英訳がつくところは、ほめる。

ChatGPT-3.5

なんかねーーーーやっぱりなんかくどいというか。ジムで友達と絆なんか深まるかよ!と思っちゃう(私基準)。

プロンプトの(仮)決定

日記でいこうかと思う。プロンプトの「友達とジムに行った」というところだけ学生個人で適当に入れてもらえば、日常的で身近で自然な語彙に触れられるのではないか。ChatGPT-3.5かBardかは両方体験してみて好きなほう使ってもらっていいし、正直内容はどうでもよくて、インプット一辺倒できた学生に、アウトプットによって自分の発話をモニターしてもらいたい、ということなんだろうな、今気づいたけど。

AIの会話やスピーキングのへの活用

ChatGPTの情報を追ってきたとは書いたけれど、ブックマークやいいね!を押すくらいでレビューできていない。今回、ざっくりチェックはしたけど、どれもこれも思ったようにはいかなくて、日記というところに落ち着いた。きちんとチェックしていないから、どこかですでにいい方法がすでに確立されているのかもしれないな、とは思いつつ。