これからの学校教育、どう変わる?【前編】教科横断、「一斉指導の見直し」も。文科省会議で意見交換
これからの教育課程や学習指導、学習評価などの在り方を議論する有識者会議が、文部科学省にて先日開かれました。
今後の学習指導要領や、授業形態を展望する上で重要な会議です。
委員の方々より出された意見の中から、抜粋して紹介します。
〈意見①教科横断的に学ぶ必要あり〉
年齢や学年などに応じ、広く総合的に求められる力について
教科横断的な形で育む必要がある、という意見が出ました。
「年齢や学年などに応じ、広く総合的に求められる力」がどんなものかというと、具体的には
低学年から、探究的な問いを持つスキル
学習の仕方
メタ認知能力
情報活用能力
批判的思考力や論理を組み立ててる力
…など。
こうした力を、『教科をまたいで子どもたちがどう学んでいくのか』を検討すべき、とする意見です。
〈意見②『一斉指導が主体』見直すべきでは?〉
特別な支援を必要とする子どもたちが、増えている。
ということは、そもそも『一斉指導=スタンダード』という従来の常識の方を疑うべきでは?
…そんな趣旨の発言もありました。
「増加の一途をたどる特別支援、不登校、外国語話者などを含む、様々な〈特別な支援を要する子どもたち〉を、それぞれの制度や施設などだけで受け止め続けるのは困難だろう。
そこで〈1人ひとりの子ども〉を主語として考えると、教育課程や学級や集団編成、学習形態などを柔軟にすることにより、普通教室でももう少し、従来以上に(多様な児童生徒を)受け止められるのではないかと思う。
そもそも、一斉指導が主体であるから、普通教室で学べない可能性もあり得る」
「より複雑化している学級経営には、高度な校務支援システムや学習記録システム等、子どもにも教師にも、1人1台端末を生かすことができないか。これらを前提に、教育課程の検討ができないか」
(委員発言より)
〈意見③工作、技術科などの重要性が増している〉
この会議で以前、安宅和人・慶應義塾大学環境情報学部教授が招聘され、「これからの人材育成を考える」とテーマに講演しました。
同氏が提唱したという、『図画工作科(特に工作)と技術科、中等教育段階での家庭・技術科についての提言』に賛同し
「図画工作科や技術科、家庭・技術科などの教科で学ぶ内容は、社会・職業生活の中でも果たす役割が大きい。
これまで以上に重要な位置を占めるように、教科構成・教科内容を検討する必要があるのではないか」
とする意見が出ました。
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個人的に、「そもそも、一斉指導が主体であるから、普通教室で学べない可能性がある」という意見に強く共感します。
はみ出る子どもたちを「異端」とするのではなく、もうそろそろ、というよりとっくに、「どっちがスタンダードなのか??」という視点から議論し、政策を検討していく時期に来ていると思います。
【本当の意味での「生きる力」を育む】という上位目標を見据え、そのために現場でどうしたらいいかという順番で、教科横断なり図画工作の重視なり、政策を進めていってほしいと願います。