自由進度学習・探究的な学び・異年齢集団での共同学習…どう根付かせる? 次年度、本格検討へ。 文科省「義務教育の在り方WG」最新報告②
公教育をめぐる本質的な議論を展開している、文科省の『義務教育の在り方ワーキンググループ』。
WGでは、今年度内に主な『論点』を整理し
来年度以降、整理した論点ごとに更なる議論を重ね
具体的な施策や運用上の工夫など、議論の成果を現場レベルで展開していくための検討をしていく方針です(詳細は①を参照してみてください)。
今回の記事では、第5回WG(2月1日開催)にて示された論点案を
一部抜粋し、わたしなりに噛み砕き意訳した形でご紹介します。
「学校が果たす役割とは?」
その前に。
まず論点案の土台となる、『検討事項』をご紹介します。
(下記の『検討事項』を踏まえて論点をまとめる、という流れ)
子どもたちに必要な資質・能力とは?そして、学校が果たす役割とは?
すべての子どもたちの可能性を引き出す学びを、実現するには?
《個別最適な学び》と《協働的な学び》を一体的に充実させることで実現可能な、《主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)》の具体的な姿とは?
多様性と包摂性(=インクルーシブ)を基本とする学校文化を、醸成するには?
学びにおける、オンラインの活用の仕方
学校教育になじめずにいる子どもに対する、学びの保障はどうあるべきか?
「自由進度学習」や「探究的な学び」、国が具体的イメージ提示を
2月1日時点での論点案を、検討事項に沿って見てみます。
▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀
【子どもたちに必要な資質・能力とは?そして、学校が果たす役割とは?】
『日本型学校教育』の強み・弱みを整理した上で、義務教育として何を継承していくべきか検討することが必要。
同世代の子どもたちが集団で学ぶ意義について、“現代的な整理”が必要。
【すべての子どもたちの可能性を引き出す学びを、実現するには?】
義務教育として学ぶ共通内容を保障しながら、授業実践・教科書&教材・教育課程・教員研修の在り方…などを一体的に検討することが必要。
⇒その際、例えば《自由進度学習》の導入についても検討することが必要。子どもたちの学びに向き合う時間確保のため、学校での働き方改革が必要(教師として行うべき業務の整理・支援、校務のデジタル化など)。
【《個別最適な学び》と《協働的な学び》を一体的に充実させることで実現可能な、《主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)》の具体的な姿とは?】
自由進度学習や探究的な学びなどを全国で横展開していくために、まずは国がこれらの授業の具体的イメージを提示していくことが必要。
学校運営に関する裁量の在り方(校長など)や、教育委員会の在り方を検討することが必要。
【多様性・包摂性(インクルーシブ)が基本の学校文化を醸成するには?】
自分と他者のニーズに応えるために、「どう調整し合意形成を図れば良いか」を考えられる機会/学校行事の運営や授業づくりに子どもたちが参画する機会を、学校教育の中に取り入れることが重要。
異年齢・異学年集団での共同学習を実践するために、どのような方策を講じればよいか検討が必要。
さまざまな知見や経験をもつ多様な人材が学校運営に参画するためには、どのような運用上の工夫が求められるのか、検討することが必要。
【学びにおける、オンラインの活用の仕方】
地理的条件など、学びを行うものが置かれている状況や属性などを考慮して、柔軟なオンラインの活用のありかたを検討することが必要。
不登校や特別な支援を必要とする子どもに対する、オンラインを活用した支援について、全国で共有する仕組みを検討することが必要。
【学校教育になじめずにいる子どもに対する学びの保障はどうあるべき?】
『児童生徒の問題行動等調査』について、調査設計の改善を含めた丁寧な要因分析と、その結果に基づく方策を検討することが必要。
また、長期欠席や不登校傾向にある子どもたちについても、しっかり状況を把握するための調査が必要。子どもたちが自分に適した環境を選べるように、不登校特例校、教育支援センター、学校内別室、フリースクールなどの様々な学びの場の抜本的拡充が必要。
また、それらの組織が有機的に連携する姿など、国が不登校児童生徒に対するモデルを提示することが必要。フリースクールや民間団体・NPOによる学びの場、多様な教育プログラムなど、学校教育法に基づく“一条校”以外における学びを、どのように評価していくのか議論が必要。
※論点案はすべて、あくまで案であり、加筆修正を経て年度内に論点として正式に示される予定です。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
個人的には、論点の土台となる『検討事項』の時点で
もちろん良い意味で、「攻めてる…!!」と感じました。
特に「学校が果たす役割とは?」なんて、ずばり本質的な問いであるし
これを検討事項の1つ目に持ってきている点からも、決してお題目を並べているわけではないことが伝わります。
また各委員からは、各々の専門分野の知見に基づいた問題意識、具体的なアイデアが出され
会議全体に前向きで活発な印象を受けます。
今年度は、論点を抽出するところまでの予定。
重要なのは、出された各論点を更に吟味し、“現場で実際に使えるもの”へと落とし込むステップとなる次年度です。
一層注目したいと思います!