自社に最適な採用管理システム(ATS)の選び方
今回のテーマは「自社に最適な採用管理システム(ATS)の選び方」です。
採用業務フローの洗い出しと課題・改善点の理解
ATS導入の第一歩としてまず初めに行ってほしいことは「自社の採用業務フローの洗い出しと課題・改善点の理解」です。
現在は様々な機能やサービスを有しているATSが提供されていますが、自社の採用フローの中でどのプロセスを改善したいのか、どの業務に課題を抱えているのかについて理解しておかないと、選定基準がぶれてしまい、適切なATSの選定が難しくなってしまいます。
洗い出した課題が業務のどの範囲を起因としているものなのか、課題と課題がどのように繋がっているのか整理しながら分析していくことが望ましいです。
課題の洗い出しを行う際は「〇〇ができない」「××業務のミスが多い」「××の対応が遅い」などの抽象的な問題に留まらず、可能であれば数値面での課題分析ができているとベターです。数値に関しても応募率の変化、採用担当者の工数の変化などの上位項目だけでなく、選考完了にかかる時間や問題が発生している頻度、面接などの日程調整にかかる時間など、一段掘り下げた計測すると現実的なKPI値を求めることができます。更には年度、期ごとの変化や採用がうまくいっていた時との比較がわかるものがあると良いです。これにより課題に対する解決策がATSの導入で実現できるのか、評価することができます。さらにこのフェーズまで課題考察を行うと、早急に改善が必要な箇所や、人事戦略目標の達成のために力を入れるべきポイントがみえてくるでしょう。
業務フローの整理・課題の分析を終えたら、次はいよいよATSを選定するフェーズに移ります。課題解決の優先度と照らし合わせてATSの各製品における機能評価を行うフェーズに移りますが、その際に以下の項目についてもチェックをしてください。
製品選定におけるチェック項目
①採用対象の雇用形態は何か
ATSは採用対象とするのが新卒なのか、中途なのかそれともアルバイト・パート採用なのか、ターゲットとする雇用形態に特化した製品が出ています。(複数の雇用形態に対応している製品もあり)製品検討を行うはじめの段階で、確認することが重要です。
②企業規模に合っているか
ATS最大の特徴は手作業で行っていた業務を自動化することにありますので、求人数や採用人数が多いほど採用担当者の工数削減などの効果が目に見えやすく、ATSを導入することでメリットが生じます。一方で少人数しか採用しない企業の場合だとシステムを導入してもコストのほうが大きく、デメリットになる恐れがあります。
料金体系も製品によって様々ですが、初期費用+月額料金(または年払い)や、従量課金制のもの、中には初期費用無料のものもあります。多くの製品では登録する母集団数や利用ユーザー数に応じて料金が異なる体系となっているため、予め母集団の規模感や利用人数を把握しておきましょう。
③外部サービスとの連携は可能か
採用業務を行う際に既に使用しているサービスがあれば、そのサービスと導入しようとしているATSが連携できるかどうかを確認してください。
多くの製品では外部連携が可能となっていますが、連携できるサービスは製品ごとに異なります。カレンダー、採用サービス、Web面接システム、適性検査、チャットなど、自社で使用しているもの、今後連携する見込みのものなどがあれば製品検討する際の評価項目の一つとして入れておくことが必要です。
連携できない場合は採用サービスに付随する業務負担は現状のままということになりますので、その点を踏まえたうえで比較検討を行ってください。
④システムの操作性はよいか
ATSを導入していない企業では、エクセルデータなどで採用業務の情報を管理しているところが多いようです。導入するATSが現行の業務で行う操作よりも複雑な操作になってしまうと、より煩雑な業務となってしまいます。無料版や無料トライアルができる製品もあるので、操作感をつかんだり利用イメージを具体的にしておくことで、担当者の導入時のハードルを下げておくことができます。
ATSは様々な業務を自動化でき、採用業務をより効率的に進めることができる便利なツールです。
しかし、導入するからには自動化できる業務の範囲やその業務における工数、入力ミスや連絡漏れ等のエラーの詳細を可視化しておくことが大切です。
更にATSの導入によって具体的にどのように業務改善がされたかを測ることができれば、これまでの採用業務におけるウィークポイントが判明し、採用戦略を立てる際にも役立つ情報となります。
優秀な人材を逃さず採用するために、ぜひ自社に最適なATSを導入し、より質の高い採用活動の一助としてお役立ていただければと思います。
参考として以下に掲載した『採用管理システム 主要製品スペック一覧』は、ATSの主要製品について、機能や特徴を40項目にわたりまとめています。
製品検討の際にご活用ください。
参考:代表 伊藤監修『採用管理システム 主要製品スペック一覧 2023』
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