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たった一枚のはっぱの話。
「人間は葉っぱみたいだ。」
歩きながら、ふとそう思った。
目の前にある大きな木。
その根本には、私たちを創り出す生命の源がある。
そしてエネルギーは幹を伝い、先に広がる数えきれない葉っぱたちへ供給される。
それはまるで、私たちひとつひとつのいのちが繋ぎに繋がれているように。
そうして成り立っているのだと知らしめるかのように。
1番先に生えているあの葉っぱ。
初々しくて綺麗な緑の葉っぱ。
虫に喰われ穴だらけの葉っぱ。
疲れていそうなボロボロの葉っぱ。
どの葉っぱも今を懸命に生きている。
そして、
この世界には、色んな葉っぱがある。
形、色、匂い、大きさ、触り心地。
どの葉っぱもルーツが違えば種類も異なる。
同じ種でも土の分量、浴びた雨の量、日光の当たり具合、環境が少しでも違えば成り方も変わる。
私たちの目には似たように見えていても、本当のところ全く同じものなど一つとしてないはずだ。
どの葉っぱが優秀で、どの葉っぱが劣っているか。
そんなのは決めようもない。
どの葉っぱも必要だから、そこにいる。
ただそれだけ。
きっと葉っぱも、
ずっと同じ場所にいたら、自分の目の届く範囲の
葉っぱとしか出会えない。
せいぜい同じ幹についている葉っぱだけ。
それでも、空の色は日々変わる。
今の視界が美しく、その場に満足しているのなら
そのままでいい。
それもきっと幸せだ。
でも、現状に飽きてしまった時。
何もせず諦めるのはきっと勿体無い。
微動だにしない大木に生えるたった一枚の葉っぱであったとしても、風に任せていれば違う世界へ飛んでいくことができる。
川に流れ、見たこともない景色を見ることができる。
たった葉っぱ1枚かもしれない。
けれど、
たった一冊の本。
たった1枚の写真。
たった1行の文章。
たった1つが人生を変えてしまうこともあるかもね
わこ
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