新渡戸稲造の「武士道を原文(英語)で読む」を読んでみた
カナダ生活11年目のWakeiです。
最近友人から譲ってもらった「武士道を原文で読む」を読み終えました。
この本は、五千円札の肖像でお馴染みの新渡戸稲造氏が書いた当時のベストセラー「武士道」を丁寧な解説付きでわかりやすく書かれた本です。
まず「武士道」の感想としてしては、「わかりずらい、スッキリ納得できない」の一言に尽きます。これは個人の好みや能力の問題です。
これでは、この先を読む気がなくなるかもしれませんね。でも名著ですから、ではなぜ私がそう感じたのか、「武士道」を知る参考になれば幸いです。
ベストセラー「武士道」を読んだ感想
「宗教教育がない日本はどうやって道徳教育をするのか?」とベルギーの法学者に問われ、新渡戸氏はショックを受けます。さらに新渡戸夫人が「なぜ日本ではそういう考え方や習慣が一般的なのか?」としばしば問われたことが、本書を書くきっかけになったと新渡戸氏は言っています。
新渡戸氏は日本の高潔な倫理観の土台には、武士道があり、武士道は日本の象徴、と言いますが、ちょっと武士道を美化しすぎな印象を受けます。武士道の倫理観がやがて庶民へも浸透していき、宗教教育はなくとも確固たる道徳観が育っている、と言いますが、皆さんもそう思いますか?
神社やお寺、村や町のおじそうさん、家の中の神棚や仏壇まで、庶民の間でも善悪の基準となる信仰はありましたよね。
どちらかと言うと新渡戸氏が、キリスト教のような宗教が浸透していない日本が西洋よりも遅れた国として考えられることに反発があり、「武士道は哲学的にも道徳的にも優れており、武士道を土台にした日本は宗教教育がなくとも倫理観が育った国である」と欧米諸国に認識させたかったのでは?と感じます。
確かに本書から武士道には品性が感じられますし、私も礼儀については好きです。ただ、逆に時代背景が違うせいか、受入れにくい部分も多いのです。
「忠誠を誓われる側にとって理想的なのが武士道である」ことは間違いありません。
発刊当時の欧米諸国でベストセラーになったそうですが、当時の人たちが「武士道」で本当のところどう思ったのか、聞きたいところです。
今更ですが、私はこの本を当初は英語で読もうとしましたが、1/2くらいで辞めました。なぜかというと、私には調べる単語が多すぎる。
しかも、冒頭で言ったように言いたいことの本質もわかりにくい。
ただでさえ、私の好みの文章ではないので、すぐ飽きるのです。コーヒー休憩・おやつばっかり取ってしまいます。
後半は日本語でさっと読んでしまいました。
以前、岡倉天心の「茶の本」を日本語で読んで、すごく感激したんですけどね、「武士道」は合いませんでしたね。
とは言え、「武士道」は当時のアメリカのルーズベルト大統領が感激して、徹夜で読破し、世界各国で翻訳、ベストセラーになった本です。
この本では英文と日本文、加えて解説までついていますから、英語を勉強したい方、原文に触れてみたい方には、この本はおススメです。
新渡戸稲造とカナダ
ちなみに新渡戸稲造はカナダと縁のある方で、亡くなったのはカナダの私の住んでいるバンクーバー島のビクトリアです。本土のバンクーバーにあるUBC 大学(The university of British Colombia)には、新渡戸稲造記念庭園という本格的な日本庭園と茶室もあります。
この本を読んでも新渡戸稲造記念庭園に行っても、新渡戸氏がいかに日本を世界に向けて、誇りを持ってプロモートしたかったか、したのか、が伝わってきます。