季語:春めく、春兆す、と、推敲(朧月、ぶらんこ、ふらここ)
①キッチンのタオル一新春めけり
②春めくやたまごサンドの昼休み
③「ありがとう」「またね」と結び春兆す
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今日は、句についての説明は無しで参ります。
三日ほど前に、YouTubeの「夏井いつき俳句チャンネル」で、「春めけり」の文法についての説明がありました。
「春めけり=春め(春めくの語幹)+けり(過去の助動詞、切れ字)←これだと文法的に誤り」ではなく、
「春めけり=春めけ(已然形)+り(完了の助動詞)」なのだそう。
このことを知らなかった私には、非常に勉強になりました。この「春めけり」の動画にはまだ続きがあるようなので、楽しみです。
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推敲
◇朧月
元句:朧月タワマン群の滲みけり
推敲:朧月タワマン群の頂に(alohaさん)
「朧月」に、すでに「滲む」が含まれているとalohaさんより。その通りです!
◇ぶらんこ
元句:ぶらんこへよじ登る児の百面相
推敲:
(その1)ぶらんこへよじ登る児の必死さよ
(その2)ぶらんこへよじ登れりと児の破顔
元句の「百面相」という語からはいろいろな顔が想像できて、句は動画的なものとなる。子どもの、どこかの一瞬を、見たままに切り取る方法もあるよと、白先生より。また紫乃先生が、元の句からは、小学校の高学年あたりの子がブランコの柱をよじ登る姿もイメージできると。私もそこは意識していて、だから「子」ではなく「児」としたけれど、考えてみたら高学年の子もまだ「児童」だから、「児」に含まれるかも?ということで、「幼い子が一所懸命にひとりでブランコに乗ろう(座ろう)としている」様子が、より出せるよう考えました。
◇ふらここ
元句:ふらここに揺られ定まりゆく心
推敲:ふらここやいつか定まりゆく心
元句の「揺れる」は季語「ふらここ」に意味が含まれていると、そして、助詞の「に」は説明的になってしまうことがあるので、切れ字や助詞を工夫してみては?と、白先生より。切れ字「や」を使い、残りの三音を「いつか」としてみました。ここでは「いつの間にか」という意味をこめたつもりです。時間や場所、心を定める人の年齢などの情報を加えることも考えましたが、やはり「ゆっくり心が定まっていく」ことに焦点を当てることにしました。
いつも、本当にありがとうございます!
よろしければご意見やアドバイスなど、今日もよろしくお願いします。