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おれっちが見るバラの景色 その2
おれっちは
バラの花までたどり着いた
着くころには
お腹にはいくつも傷がついていた
そりゃあ痛かったけど
やり遂げた嬉しさが
痛みを消してくれた
「ワタシが毎日見ている景色はどう?」
バラからおれっちに声をかけてくるのは珍しい
「おれっちがいつも見ている景色とは全然違う」
空が近くに見えた
少し頑張れば
雲にだって手が届く
おれっちが何日もかけなきゃたどり着けない場所も
ダンゴムシの友達のバラ
「高貴なワタシに何の用?」
おれっちを上から見下ろしてるやつが
よく言っているセリフだ
おれっちはあのバラが大嫌いだ
トゲトゲしていて
お腹に当たると痛いんだ
だから
ある時おれっちは聞いたんだ
「お前は何でトゲトゲしているんだ?」って
そうしたら
バラは珍しくおれっちの質問に答えてくれた
「トゲを出していないと、ワタシの美しいお花が守れない」ってね
その時、思ったんだ
戦争のはなしができる人
今は令和
どんどんいなくなっていく
戦争を体験した人が
当時の話は
実体験でしか伝わらないことが多い
ただの話に
臨場感にも似た感覚が生まれる
教科書の情報
知識人の話も大切
でも
やっぱり敵わない
だから
貴重な話を聞けるうちに聞いておこう
実体験の話なんて
もう聞けないよ
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【8話の3】連載中『Magic of Ghost』
※【途中から有料になります(平均4,000~6,000文字前後で100円)】購入していただいた際の利益は、すべて出版へ向けての費用にさせていただきます。今後とも優鬼、クレアともども、和道をよろしくお願いいたします。
※この記事は【8話の2】の続きです。
華道坂の反応を見る限り、やはり麗夢とは関係があるようだ。
「てめぇ!!」
俺は思わず、すぐ後ろにいたその男の胸ぐらを掴んだ。この広過ぎるほ