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エッセイ/勝手にアンバサダー

数人で宅配ピザを注文する際、僕はいつも嘘をつく。
自分を偽り、相手に合わせる。
大概、複数人で宅配ピザを注文する際は、色々な味を楽しみたいから1枚のピザに何種類かの味が混合し合っているのを頼む。王道のマルゲリータや和風照り焼きのソースなど味に飽きが来ない様振り幅を効かせる。
しかし本当に僕が食べたいのはいつもそのラインナップにはいない。

パイナップルのピザ

僕は1番これがスキ。
昔は注文時毎回僕はこれを主張していた。
その度に皆から、甘いの?違うのにしようよ。
などといった苦情がご丁寧に毎度のごとく入ってくる。だからいつしからか、空気を読み僕はパイナップルのピザがいいな、と発言することは無くなった。

パイナップルのピザがスキと言うたびに、皆が口を揃えて言ってくるのは、
「じゃあ酢豚のパイナップルも好きなタイプだー」
これだ。
いいえ、中華のシェフには申し訳ないけど、それは食べられるけれど好みとはまた違うのです。
そのむねを言うと、なんで?パイナップルピザと変わらんやん。と言われる。

んー、違うのですよ。

パイナップルのピザが好きだが、フルーツ料理全般が好きなわけではない。
強いて言うならば、ちょっと高級なフレンチコースなどのメインを飾る[牛肉のポワレ カシスソース]などは大好きだ。
それを思うと僕はきっと、洋食のフルーツ料理を受け入て生活しているのかもしれない。パイナップルトッピングのハンバーグもスキだし。生ハムメロンだって、ビュッフェに並んでいたら沢山は食べないが一個だけならいただいている。

だから酢豚にパイナップルは同じ括りの様で、同じじゃない。

お腹が痛い時に「お腹痛いなー」って言った際、「トイレ行ってくればー」と言われたときと同じ感覚。
トイレの痛みじゃないのよ。べつに出したいが故の痛みじゃないのよ。同じ括りに様で違う括りの痛さなの。


うん、ご飯の話しのなかで申し訳ない。

きっとみんなパイナップルのピザを食わず嫌いしている。そう信じたい。
ちょっとした甘さがお肉の味を引き上げるのよ。
だからパイナップルのピザに入っているベーコンはとっても美味しいんですよ。

と言っても、酢豚でごめんなさいしているみんなには
伝わらないのかもしれない。
牛肉のポワレのカシスやオレンジのソースみたいな感じだよ。と言ってもなんかみんなピンときていない。

パイナップルのピザの塩味と甘味の相性的な問題は、あまり好みではないが、スイカに塩みたいな感覚なのだろう。塩バニラアイスとかね。

ロックにピアノの音

シリアスな映画のちょっとしたユーモアシーン

ジャケットとパンツに明るめの靴

鬼コーチの差し入れ

巨人のクロマティ

飴と鞭

塩味に甘味はこういった種類に似ているのかも。


だけども僕は嘘をつく。
マルゲリータがいいなと外面で笑う。

決してマイノリティがかっこいいと主張したい訳ではなく、食通ぶりたいわけでもない。

パイナップルのピザ。皆さんにも是非とも挑戦していただきたい。勝手にパイピのアンバサダー。

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