Rain
葉も霧に隠れる
星が避難した夜
降る雨は屋根を濡らし
コンクリートは黒くなる
風はそんなに強くないから
時折走る自動車の顔も
そこまでしかめっ面ではない
私はアパートのベランダで
なにもない時間を過ごす
残暑を疎む季初めに丁度いい雨さん
翌日の朝にはどっかに行くっちゃね
今のうちにここいら一帯通らしてな
そう言ってきたのは
頭の垂れる意を込もった優しい雨さん
雨さんはひたすらに私の手を伸ばす先を走っていった
いいえ
こちらこそ
そんなに気を遣わなくたっていいんですよ
雨は自動車のライトを避けながら私にむかい
みんなの為っちゃね
あんたは明日朝寝とるだけやろ
明日朝走る子供もいるけん
今夜中には出て行きます
そう言っては猛然と降り強くなった
私もそれじゃあ明日朝は予定になかったが
散歩でもしてみようかと
雨さんが連れてきた新しい季の中を