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詩集 幻人録

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#詩

詩/岩壁への旅

詩/岩壁への旅

私は地べたを這いつくばって
自由の海に辿り着くまで
ぴちゃぴちゃ跳ねる魚でしかない

泥に塗れた鱗が剥げて
汚い聲を吐きながら
生命の起源を感じる他ない

死神のマントの様な暗がりが
襲いかかっても先にある
小さな灯台の灯を胸に

真っ直ぐに跳ねるしか道はない
邪念は工夫の産物で
今の私には遠い価値

ただひたすらに
ただひたすらに

抗うのは墓石の刻印
広大な海の音が
ざざざと尋ねてくるまでは

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詩/微笑の子

詩/微笑の子

感じるほどに

熱い微熱

包まれたなら

あなたの香り

水平線の向こう側

眩しい夕凪が

湖のほとりに佇む

新たな心の悲哀

くだらない秘密の片隅に

薄れない微笑みが

しがらみの中に落ちてく

まだ見ぬ子の微笑

伝えたい言葉の色が

崩れ落ちない様に

瞬きの中に閉じ籠める

嘘のない涙の丘

狼狽えないでいて

本にはならない人生の

心を聴いてほしい

暗闇の様な暖かさ

薄れな

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詩/どんよりとした世界を遮る

詩/どんよりとした世界を遮る

ダイヤモンドの様な聲

どんよりした世界に生きる

あなたの聲が暗がりを

乱反射した光の屈折

私からの贈り物

あなたの首元にダイヤモンド

それはあなたを強くする

それはあなたと共に生きると

願った私の想いの塊

強く握った手と手が今

熱く火照って繋ぎ止める

新しい輝きは

どんよりとした世界を遮る

あなたと私の光り方

きっと見つける慕情の横顔

詩/僕という名の希望

詩/僕という名の希望

悲しい朝が来るなら
君の心に矢を放つ
僕という名の希望
それが唯一の朝日なんだ

淋しい夜が来るなら
君と踊り続けよう
僕という名のビート
細かく輝く散り星の様

なんにもない部屋に
飾ってほしい花は
諦めた胸に光を灯す
決断の花弁

発色し続ける可憐な笑み
それが君の本当の聲
全てを飲み込み続けよう
君の毒も全て僕が貰うよ

詩/月とあなたと

詩/月とあなたと

微熱におかされ
苛まれる思考
絡まる愛情は
不確かに形造る

溢れ出る純愛は
軽薄なほどに殴りかかってくる
私の心はサンドバッグ
あなたの笑みが胸を打つ

「今夜の月は真っ黄っ黄」
興奮するあなたに心囚われた
「今夜の月はまん丸」
演舞するあなたの胸中に住みたいと願う

愛情の雲は月をひた隠しにした
あなたが私だけを見る様に
私は月に嫉妬した
哀れで小さな心臓さ

詩/氷の嘘

詩/氷の嘘

君のついた嘘

僕の心の刃

その矛先は

悪魔の羽根

羽ばたけない様に

僕が折る

君の本音

もう邪魔しない様に

僕のついた嘘

天使を笑わせる為の口実

嘘のない世界が幸せならば

この世は昔から幸せだ

だってみんな

嘘は嫌いでしょ

だってみんな

嘘は苦手でしょ

氷の溶けるスピードに

季節が関係する様に

本当のことを炙り出すには時差がある

でもね

暖かい心こそ

氷は

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詩/弱い星の片隅より愛を込めて

詩/弱い星の片隅より愛を込めて

この星は弱い星

君みたいな柔らかい心が

集まって出来た星

僕はこの場所に住んでいる

弱さの中で息してる

僕だって怖いから

常にバリケードを張っている

優しい愛だけを

瞳に宿して

誰かの視点で世界をのぞく

心がすぐに痛むから

君は色々考える

頭の中の思考の蔦は

いつしからか君の足元まできた

掬い上げた水の濁り色

青色のない信号機

寒い夏の思い出

それら全部が君の心に

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詩/冷たい風に

詩/冷たい風に

心が渇いていた

それは水を飲み干しても

潤いはしない

悲観な心情

あなたと話した

朝まで話した

それは私の乾きを

純に潤してくれた

黙っていても

駄目だった

あなたは私の話しが聞きたいと言った

私はあなたに愛を伝えた

宵の縁に腰掛けて

ずっと愛を語りかけた

それはもう鬱陶しいくらいに

あなたは笑った

愛はもう聞いたと笑った

他にどんな話しをしよう

冷たい風に変わ

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詩/待ち合わせ

詩/待ち合わせ

待ち合わせの時間

少し遅れるという君からのメッセージ

そんな時間に

喫茶店に入る

静かな空間

コーヒーの香り

虚ろな僕の

頭が冴える

君は

どんな服を着てくるのかな

どんな靴を履いてくるのかな

僕は君が無事に辿り着くことを願う

頭の中で流れる音楽

それはゆっくりとしたピアノの音

早く君に逢いたいな

かわいい君に逢いたいな

詩/知らない君

詩/知らない君

僕の知らない君の心

古い時計の針の音

カチカチ鳴ってる電話の向こう

僕と君との歩幅の差

悲しいくらいにひらいてる

涙が出てきて

洪水になれば

歩幅もなにも埋まるのに

涙は出ないの

一滴も

愛してるって言ったって

声も届かない様な

距離が開いてしまったのなら

もう一度君のところまで

駆け足で戻って抱きしめる

だから

君にあげたリングの中に

僕と君とを閉じ込めて

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詩/夜風讃歌

詩/夜風讃歌

私が夜風を抱いたら

心の傷は癒えるのかしら

私が夜風と踊ったら

揺れる想いは熱く燃え盛る

まだ見えない場所からの合図

受け取ったらそこに行けるの

静かな夜、ひとり歩いた

住宅街を抜けて明るい場所へ

私が夜風を抱いたら

あなたへの気持ちは変わるのかしら

私が夜風と唄ったら

胸騒ぎは静まるの

まだ感じとれない

浮かんだ月の匂い

星屑はなんとなく

私を包んで散っていく感覚

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詩/愛がはじまる瞬間に

詩/愛がはじまる瞬間に

愛がはじまる瞬間に

僕等はなにを考える

人間の強さだとか弱さだとか

そういう類いの話しの中で

僕等は希望を捨て切れず

誰かに頼って

誰かを救う

愛がはじまる瞬間に

僕等はなにをすべきだろう

互いの心に傾けて

寄り添いあって歩くのか

それはとても奇跡的なことで

愛の行き場を作ってあげられる

涙が出るくらい素敵な歌を

心おきなく歌える時

土砂降りのなか

あなたの傘になっ

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詩/おかえりなさい

詩/おかえりなさい

おかえりなさい

愛するあなた

外は土砂降りだったでしょ

あなたを濡らした雨が憎いわ

私の沸かしたお風呂で休んで

私が買ったシャンプーでいい香りに包まれて

おかえりなさい

愛しいあなた

お昼ご飯も食べる時間がなかったのね

私はあなたの仕事が憎い

栄養不足で倒れたらどうするの

私が作ったスープを飲んで

私が作ったパエリアを食べて

おかえりなさい

世界一愛くるしいあなた

詩/溶けていく

詩/溶けていく

言葉は水に溶けて

グラスは斜めに倒れ

濡れたテーブルの上

拭かずにこのままおやすみ

テーブルには文字の残骸

心は遠い何処かへ消え

あてもない旅は終わらない

送れない手紙が増え

朝になったら満たされぬまま

おはようの文字を床に落とす

時計はぐるぐる廻り

あっという間に溶けていく

秒針は早く

1時間は1秒程に感じる

そんな毎日にあなたという希望

初めの一歩は怖いけど

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