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詩集 幻人録

322
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2021年10月の記事一覧

歩鳥

歩鳥

駆けない鳥は空を歩いた

風をきっての滑空は

もう何年もしていない

小さな森の上をぐるぐる

あぶくを吹いて落下してから

鳥は空を歩くだけ

遠い街にはいけなくなった

同じ景色の同じ夕時

大きな夕陽が燃えている

寒さが始まり

夕陽の暖をとりたいが

あんな遠くは飛ばなきゃ行けない

牛歩で空を歩いたら

森の端では花が枯れ

また咲く準備がよく見える

鳥は両羽で行ける程の

小さな

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慕うは

慕うは

咲いてるときだけ見ないでよ
あんたのお顔は春しかしらない

公園通りの紫陽花さんに
すぐに目移りするんでしょ
赤 青 紫
飽きない色がたくさんたくさんなんだもの

散ったら私は背景画
侘しくここに立っている
そんなわけなどありゃせんさい
決めつけないでよ
アンポンタン
凛としとるわ
いつだって

それなのに
それなのに
俯くあんたの背中を押すのは
足元に咲く蒲公英さん

綿毛を飛ばしていけばいい

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行間に住む

行間に住む

私は行間に住んでいる
悲しい言葉の温かい物語
ここにいたら
だれにも声はかけられない

さようならと
ありがとうの
間に囲いを作っても

泪で私は見つからない
悲しい言葉や
美しい景色に

皆の目は行き
私の上は目線が通過するばかり

いまはこれでいい

ここで休んでいたい

真っ赤な林檎のように艶めき
激ってきたらここをでる

その時は

どうか私を読んでほしい
心を熟す
丸い林檎をあげるから

たまごのはなし

たまごのはなし

なにかな

なにかな

小さなたまご

なにが産まれてくるのかな

黄色い小さなひよこかな

青い大きなひよこかな

ロケットのたまごだったらいいな

そしたら

育てて大きくなった

ロケットにのって月の裏まで

ごごごごご

なにかな

なにかな

なにが産まれてくるのかな

僕に弟できるかな

それとも

ケンタウロスの子供かな

そしたら

背中にまたがって

いっぱいお話しできるかな

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おじゃがのカリーうどん

おじゃがのカリーうどん

老廃物が体に詰まる

間隔を置いてズドッと荷を背負う

ただいまって

帰ると

おかえりって声の後ろで

うどんが煮込まれる

昨日のカレーのあまりもん

とろっとしたカリーうどん

お揚げさんよ
長葱さんよ

ありがとう

これが美味いんだよな

野菜の残ったカリーうどん

ずるずる

はふはふ

ほっくほく

ずるほく

じゅるるる

ほっくずる

ごくごくごくごく

老廃物を流しだせ