シェア
渡辺 杜太朗
2021年6月25日 22:09
遠くで誰かが想うのは遠くに暮らす私の心情庭に咲いた小さな花に水を垂らす様に窺い知れない遠里の花に水を差すのは巨人の長腕が必要物資残念ながらに巨人は幽霊 夢の化身触れられないから当てにはしちゃ駄目屈強な花は雨を啜り泥だらけの花弁でも背骨の茎は曲がらないのだろうそんな花だとしても尚たまの便箋一通なんかじゃ不安の球はハートのなかで静かに跳ねる病と契約してないも
2021年6月23日 12:27
鷹が翔ぶ水気の無いダム湖を上を鷹が呼ばれる大盤振る舞いの恰幅な太陽に鷹は鳴く私とあなたは無関係鷹は翔ぶ遥か遠くの野を目掛け太陽は言う鷹よ伝えてくれないか太陽は言う彼等に教えてくれないか太陽は思うここは私より大きな星が牛耳るこの地太陽は叫ぶ私だってもう休みたい太陽が怒る彼等は私を憎んでいるから鷹は思う豆粒の様に小さい彼等にとってあなたはこの地
2021年6月18日 15:41
あなたの心苦な1秒も私が眠る1秒もあの街の埃塗れの1秒も私の空気清浄機の回る部屋の1秒も同じ刻の一欠片だとおもうと思考の平和は細穴に陥る私の怠惰な時間と涙に浸かるあなたの時間は総じて同じだよって時計は言ったぬるめの温泉に浸かった10分と熱波師に扇がれるサウナの中の10分が同じなんだくらいの心持ちで言い放った時計よ私にほいほいと言わないでおくれ人
2021年6月15日 12:16
田んぼの淵で皆一緒 カカシの様に突っ立って遠い昔を見つめてる 口をあんぐり開けたまま仄暗い深海と勘違いをした鰯の群れが夜空を滑空する様は数秒おきにシュっと煌めく獅子座の頃の流星群田舎の秋の真夜中は 耳が赤く染め上がる鼻の頭も染め上がる畦道外れの車の窓から毛布を纏った妹が顔を迫り出し笑ってる寒気や眠気は一閃の光束に射抜かれたから消失中幾度も落ちる希光の探求
2021年6月11日 16:56
誰にもすれ違わない様に一本はぐれた枝を行く言葉が拙い思春期は恥じらいを跳ね返す表情も知らないあなたと隠れて話しましょう長い廊下に子供達秘密を厚らい着込んでいたからあの夏はより暑かった新しい屋根の隣には古いトタンの錆びた屋根大通りでは無い私達の帰る場所がここならと言ってはあなたが小さく微笑んだあの瞬間が私のはじまり駅まで歩く裏の枝細くて短く
2021年6月7日 15:05
余白を飛ばして訪れた若葉の頃に暮らした街は涙と汗を噛むほどに色気を増し老艶に象った古い木窓の群列体錫色に並ぶ扉の奥では宵に酔った赤らめ頬のおじちゃんが酒樽に腰掛け流暢に笑いをばら撒いている無我に飛び込む社会の油でべたべたになった私の心は赤らむ街を抜け歩くだけでポッと安心ポッととぬくいこの場所一帯消えるんだ次の冬には消えるんだ老いた飲み屋や食堂
2021年6月1日 11:28
あの鉄柱よりも遥かに高い水彩の様な快晴雀が近くで鳴いてるがどこに居るかはわからない流れる1秒が織りなせば騒めく杉も雀の羽ばたきも流線系の実態となるそれくらい大事な重なりの秒間を私はただ小高いだけの細道から街の外れの住宅の群れを反神妙な顔持ちで緩くてぬるい表情筋を携え眺め下ろしているだけの昼堕落それを悪人と罵られては擦り減った私の思の動く部