雑音ーノイズー
「ほんとうだ。ソォダ水のはじける音がする。
雑音ーノイズーの音なんかぢゃない。
宵里の云うとおりだ。」
ー中略ー
「それにしても、きみたちはなんて古いレコォドを聞いているんだろう。
雑音ーノイズーがひどいね。」
「でも先生、ぼくたちにとってはこの雑音ーノイズーが、
何より重要なんですよ。」
宵里はアビに目配せをしながら、そう云ってレコォドを止めた。
長野まゆみさんの紡ぐ言葉の色が好きです。
ブルー、青色を表現する言葉が特に美しいと
読んでいてたびたび思います。
からあげを揚げている音に雨降りの景色を見るように。
貝殻の空洞に波の音を聞くように。
作中では“レコード”のノイズに“ソォダ水”のシュワシュワと弾ける景色を見ている。
レコードなんて幼少期に祖父母宅で1・2回しか聴く機会がありませんでしたが、私もレコードをかけて“ソォダ水”の音に浸りたい。
日常生活の中でこんな景色を増やしていきたいなと思います。