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ブランドとは何かについて考えてみる。

今週もウェブ解析士のノートをご覧いただきありがとうございます。
今週はブランドに関する記事を書いてみたいと思います。というのも、「中の人」はここ最近お仕事でブランドについて勉強し直している最中であります。
なので、基礎を振り返るためにも、ブランドづくりの根幹=基礎について記していこうと思います。お付き合いください。

ブランドとは

昨今は何をするにしても「ブランディング」なんて言葉を聞きますが、そもそもブランドって何なのでしょうね。この点については、ブランドの機能を知ることで説明できます。
ブランドの基本機能は「ある生産者の製品と他の生産者の製品を区別する」という識別機能にあります。要するに、「うちの製品はその他の製品と違うぞ」と主張するものがブランドなんですね。
ブランドの機能についてさらに詳しくみていくと、エンドーサー機能とドライバー機能という2つの機能が存在します。

エンドーサー機能

エンドーサー機能とは「品質保証機能」のことです。この機能はある企業がビジネス的に成功していて、信頼感があるので企業名を聞くだけで品質が保証されていると消費者が感じることで発揮されます。
消費者が知覚している内容が起点なので、実態はさておきです。
例えばですが、「中の人」はこの記事を飛行機の中で書いています。搭乗しているのはJALの便です。日本国内では最大手の航空会社なので、乗る前から「まず事故はないだろう」という安心感と「それなりのサービスがあるだろう」という期待感を持っていました。こういった心情を作り出すのがJALという企業ブランドです。

ドライバー機能

続いてのドライバー機能は「購買駆動機能」のことを指します。要するに、購入するのを後押しするような機能のことですね。別の言い方で「想起機能」と呼ばれることもあります。これは、その製品が技術や性能などの機能的価値や、デザインやイメージなどの情緒的価値で競合する製品との差別的優位性を持っている場合に発揮されるそうです。
「中の人」がJALを選んだのも、「便の数が多い」「マイルを使ってお得に買える」などの機能的価値があったからですし、そういう価値をJALというブランドが持ち合わせていると知覚していたからなのでしょうね。

資産としてのブランド

『ゼミナール マーケティング入門』という書籍によれば、マーケティング活動においてブランドは資産であり投資対象なのだとか。曰く、

ブランドは、流通業者との取引関係や、顧客との長期的な関係性と並ぶ、マーケティング領域における企業の有力な資産である。

石井淳蔵他『ゼミナール マーケティング入門』日本経済新聞出版社

とのこと。企業買収を行う際にもブランドとしての評価額が買取金額に反映されることから考えてもブランド=資産と言って差し支えないように思えますよね。

ブランドがもたらす効果

ブランドがどう言ったものかはご理解いただけたと思います。では、そのようなブランドを創るとどんな良いことがあるのでしょうか。
一言で表せば「選択する理由を消費者に与える」ということでしょう。上述した2つの機能が正常に作用することで、その他の選択肢もある中で自社を選ぶ理由を提供することができます。
このブランドがもたらす効果は、大きく分けて「価格プレミアム効果」と「ロイヤルティー効果」として表出するそうです。

価格プレミアム効果

価格プレミアム効果とは、その名の通り他社よりも高価格で販売することができるようになるという効果です。
車の整備を例に取ってみると、町の整備工場よりも正規ディーラーの方が整備費用が高いというのはよくあることですよね。それでも、正規ディーラーで整備するという人は多いのではないでしょうか。
これはブランドが情報処理負荷の削減に寄与しているからです。ブランドから連想されるサービスの品質や属性、それを提供する企業の能力などがあるため、消費者はあらためて情報を収集し、処理するという手間を省けます。「多少高くても、信頼できるなら」という心理が発展して価格プレミアム効果を決定づけます。

ロイヤルティー効果

ロイヤルティー効果もその名の通りですが、顧客が自社の製品を繰り返し購買するようになる=LTVを増進する効果のことです。
例えば、「中の人」はApple社の製品を愛用しています。この記事を書くのに使用しているMacBookは2台目です。ブランドを気に入ってもらうことで、このように長期的に顧客とつながることができるとするのがロイヤルティー効果です。
この効果も表出には幾つか条件があるのですが、わかりやすいのが自己表現の媒体化です。
皆さんは、Apple社の製品にどんなイメージをお持ちですか?「おしゃれ」とか「無駄がないミニマルなデザイン」とか「クリエイティブな感じ」とか様々なイメージがると思います。そして、Apple社の製品を使用する人も紐づいて同様のイメージが持たれる可能性がありますね。これこそが自己表現の媒体化です。「こうみられたい」というイメージを持っているブランドを愛用することで自己表現を行うことができるようになります。

ブランドを構成する要素

さて、ブランドがどう言ったものでどんな効果があるのかをみてきました。では、ブランドを構成するものとはなんなのでしょうか。これらを体系化したのがAaker氏のブランド・エクイティ論です。
ブランド・エクイティとは「ブランド、その名前やシンボルに結びついた資産と負債の集合体」のことだそうです。
そして、下記の5つの要素で構成されているそうです。

・ブランド認知
・知覚品質
・ブランド連想
・ブランドロイヤルティ
・登録商標などの法的資産

ブランド・エクイティは消費者の頭の中にあるものを指しています。ブランドを評価する際には有効なのですが、ではどうやってそのブランド・エクイティを築くのでしょうか。
そのヒントをくれるのが、同じくAaker氏のブランド・アイデンティティの概念です。
ブランド・アイデンティティとは「ブランド戦略策定者が創造したり維持したいと思うブランド連想のユニークな集合体」を指すそうです。要するに、企業側が作っていきたいブランドの理想像のことですね。
ブランド・アイデンティティを構成するのはブランド名・ロゴ・タグラインなどのID要素とターゲットや提供便益を含むブランド・コンセプトの2つに大別されます。
ブランド・アイデンティティは顧客への約束と表現されることもあります。
なので、ブランドを作っていくには、顧客への約束を掲げ、それを愚直に実行していく姿勢を保つことが重要になってくるのだとか。

まとめ

今週はブランドとは何か。について記してきました。パリティ化(同質化)やコモディティ化(一般化)が進む定常型社会で、ブランドに期待される役割は非常に大きくなってきています。しかし、残念なことに「ブランディング」の名を借りた自己満足的な戦術を実行する企業が多いことも確かです。上記の内容を拝読いただいた皆様なら、ロゴの刷新やウェブサイトのリニューアルのみでブランドが築けないことをお察しいただけると思います。
残念ながら「中の人」は大層なブランドを築いてきた実績がないので、そのHow-toは市販されている多くの書籍をご参照いただきたいです。
ただ、世の中のブランドを解説している書籍は大企業や有名ブランドの考察が多く、中小企業が取り組もうとするとなかなか難しいものが多いです。
そんな中でおすすめしたいのは下記の書籍です。等身大のブランド戦略を描くのに参考になると思いますので、気になる方はご一読を。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
え、不完全燃焼ですか?
そこは申し訳ないです。「中の人」自身も書いていて不完全燃焼です。(笑)
ブランドがどういうものかわかったら、じゃぁどうしたら創れるのか気になりますよね。ブランドについての説明だけで3000字を超えてしまうようなヘビーなテーマでした。
「中の人」なりのブランドコンセプトの作り方などは別の機会に書いていくことにしますので、期待せずにお待ちいただければと。
それでは、また来週お会いしましょう。

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