デザインファームが「関係人口」に本気で取り組む……ってどういうこと?
はじめに
ワヴデザイン公式note読者のみなさま、こんにちは、あるいはこんばんは。
株式会社Rockakuというコピーライターの会社を経営している森田哲生と申します。広告のキャッチコピーから、ネーミング開発、企業理念やブランドコンセプト、採用系のインタビュー記事、サイト構成、ライティングまで幅広くやっています。
実はこの公式noteでは何度か登場しているので、ちょろっとご存じの方もいるかもしれません。
↑弊社をご紹介いただいた記事
↑僕が取材・編集を担当した記事
今回、僕がご依頼いただいたのは「ワヴデザインが続けてきたさまざまな企画や取り組みを『関係人口』というキーワードで紹介していくこと」だったんですが……どう書くかうんうん悩んでいるうちに2023年も終わりにさしかかってしまいました。ホントすみません(汗)。いやでも、ワヴデザインさんとやっている案件が……あ、いや、いつもお世話になってます!!
そんな折、ウェブスタッフのトム・イシカワさんが、ご自身の視点でワヴデザインさんのユニークな取り組みを語る記事がアップされていたのを見て、「じゃあ、僕も自分目線で書いてみようかな」と筆を執りました。トムさんに対抗するわけじゃないですけど、まあまあ長い話になるので、そこは覚悟とご容赦をお願いします。
制作人生がフラッシュバックする走馬灯イベント「師走忘年会」
忘れもしない2023年12月1日(つい最近なので忘れてたらヤバいんですけど)。僕は、「iDID(アイディアイディ)」 が主催する「師走忘年会」にやってきていました。
「iDID」は「世界中のクリエイターをつなげるコミュニティプラットフォーム」を標榜するサービス。その「iDID」が仕掛ける「師走忘年会」は、ワヴデザインも運営として参加し、錚々たる登壇メンバーと、アフターコロナのイベント解禁ムードが広がるタイミングとが相まって、実に350枚のチケットが早々にソールドアウトしてしまう盛況ぶり(ラスト1枚に滑り込んだのが僕でした笑)。
実際、当日行ってみて、その熱気にちょっと気後れするフルリモート民の僕でしたが、会場をうろうろするうちに、「関係人口ってそういうことか!」という腹落ちが生まれていきました。
まず、登壇者でもあるコパイロツトの定金さんとの再会。実は僕が2007年に独立してフリーランスになった時、めちゃくちゃお世話になった恩人の一人なんです。他にも当時、いっしょに仕事をしていたNSSGの町田くん、Rockakuを卒業して独立したtoishiの小林くんに会ったり、毎週顔を合わせているワヴデザインの中村さんがいたり……10年以上前の仕事仲間から、現在進行形のプロジェクトメンバーまで、待ち合わせもしていないのに、どんどん出てくる出てくる笑。
それはさながら、独立して約16年間の制作人生がフラッシュバックする走馬灯のような感覚。「俺、明日死ぬのかな?」って何度も思いましたよ。
ただ、それだけだと「ちょっとした同窓会」じゃないですか。この「師走忘年会」はそうじゃなかった。会場で見知った人を見つけて近づいて行く→その人が話していた人とも名刺交換して互いのつながりを話したり、仕事について話したりする→今度会う約束を交わす……みたいな、新しい出会いがたくさんありました。
実際、再会を約束してすぐにオンラインMTGして1月に改めて会うことが決まっている人たちがいたりして。ここ数年でリアルな場でのコミュ力がガタ落ちしていた僕にとっては、懐かしさと新鮮さを感じる不思議な時間でした。
そもそも「関係人口」ってなんだっけ?
と、コミュ障気味だったおじさんのワクワクイベント体験談から入っていきましたが、ここで今回のテーマである「関係人口」という言葉について、目線合わせをしておきたいと思います。
「関係人口」とは元来、地域創生とかまちづくりの文脈で使われている言葉です。総務省のホームページにはこんな風に書かれています。
ざっくり言うと、ふるさと納税なんかも「関係人口」の文脈で語られる取り組みの一種です。地域内外のさまざまな人たちが納税を通じて地域を応援するってことっすからね。
で、この「関係人口」を含む「人口」の話をワヴデザインさんのようなデザイン会社に置き換えて考えてみると、「定住人口」が社員の数、「交流人口」がパートナーとして一緒に仕事をしている人やクライアントの数、それ以外の関わりを持つ人たちの数が「関係人口」と言えそうです。
つまり、「採用にも営業にも直接は関わらない人」ってことですね。厳密に言えば頭に「まだ」をつけるのが正しいかもしれません。
「どうなるかわからないつながり」を広げる意味
そう言えば今回、「関係人口について書いてほしい」と言われて昔書いた自分のnoteを思い出しました。
これ、大きくはクリエイターの「営業」と「広報」の話を書いていて、長いんで超ざっくり言うと「仕事くれそうな人にだけ知られようとしても、誰が仕事くれるかなんてわからないし、誰が誰とつながってるかもわかんないから、とにかく自分を知ってる人を増やした方が広がるんじゃね?」みたいな内容なんですけど、これってワヴデザインが考える「関係人口」とけっこうリンクするなって感じたんですよね。
一般的な価値観でいうところの「効率的な営業」「効率的な採用」って、マーケティングに基づいて絞り込んで、狙いを定めて実施していくじゃないですか。でも、ワヴデザインが会社として考える「関係人口」って、ある種、その逆を行く視点なんだなって。
つまり、すぐに「営業」や「採用」につながる関係ではなくて、「どうなるかわからないつながり」を広げていくことに全力で取り組んでるんですよ。確率を上げるために母数を的確に絞るんじゃなくて、敢えて狙いを定めず母数をガンガン広げていくイメージです。ともすれば無駄にさえ感じる人がいるかも知れませんけど、それは断じてちがうと僕は思います。
知り合いの知り合いの知り合い……がつなぐロングテールな経済圏
もしも「関係人口」と聞いて「ピンとこない」「自分事にしにくい」という人がいたら、こう考えてください。
「今、自分が大切にしているチームとか、プロジェクトとか、コミュニティがあったとして、そこに自分をつないでくれたのは誰だったのか?」って。
もちろん、会社のつながりとかもあると思いますけど、「Aさんとつながってなかったら、このコミュニティに関わることはなくて、Aさんを紹介してくれたのはBさんで、Bさんは元々、犬好きのイベントで知り合った人で……」みたいな感じ、ありませんか。僕はこれを「出会いと因果のアクセス解析」なんて呼んだりしてますけど、この出会いのトラフィックを増やすことこそ、ワヴデザインさんが実践している「関係人口」との向き合い方なんですよ(勝手に断言してますが)。
あの夜、圧倒的走馬灯体験と新しい出会いに浸りながら、僕はもう一つ、気づかされたんですよね。
「自分はこの十数年、たくさんの人たちとの関係性に生かされてきたんだ……」って。
最初からクライアントやパートナーだったわけじゃない人たちもたくさんいて、でも、いつの間にか(中には年単位の時間を経て)一緒に仕事をするようになって……そんな関係性が可視化されたからこそ僕はそこに走馬灯を見てしまったんです。
それはたぶん、僕だけの話じゃなくて、あの場に集まった350人が大なり小なりそうだったんじゃないでしょうか。そして、「その関係性の中で生まれた個人や企業の売上げっていったいどれくらいなんだろう?」「生まれたノウハウやキャリアってどれくらいの価値があるんだろう?」なんて、やや生臭い想像までしたところで「ああ、そうか」となりました。
会社における(あるいはクリエイターにおける)「関係人口」って、めちゃロングテールな視点で見れば、ある種の経済圏すら築き上げるポテンシャルがあるんですよね、マジで。
「面白さドリブン」の“We Are Better”な生存戦略
要するに「会社における関係人口づくり」を「目先の商売のことばっかり考えててもつまらんよね」「いろんな人がいた方が面白そうじゃん」というマインドでやっているのがワヴデザインなんじゃないかなって思うんです。
それはとてもポジティブで未来志向なスタンスだし、人的資本がキモになるクリエイティブ領域の会社にとっては、至極真っ当な生存戦略だと言えます。だって、クリエイターって面白くないと飽きちゃうじゃないですか。飽きちゃったら先細りして、辞めちゃう社員も増えていきますよね。
でも、「関係人口を広げる」という観点で活動をしていけば、多様な人の流れが生まれる!人の流れは変化や刺激をもたらす!ずっと面白い環境が続く!……つまりは、「面白さドリブン」の生存戦略なんだ!と勝手に結論づけた次第です。そこは“WAB=We Are Better”を標榜するワヴデザインらしいところだと思いました。
「師走忘年会」だけじゃない!「関係人口」を広げる多彩すぎる活動
さて、ワヴデザインが進める「関係人口」へのユニークな活動は「師走忘年会」だけじゃありません。
「DD SESSION」という勉強会や、「WDS SESSION」という交流会、さらには教育事業として立ち上げた「Wab Design School」もあったりします。
DD SESSIONのレポート
WDS SESSIONのイベントページ
Wab Design School
曲がりなりにも制作会社を経営している身からすると、本業をガッチリやりつつでこの活動量は圧巻です。ぶっちゃけクレイジーなカロリーを使っていると思います。でも、ワヴデザインにとっては、全てがガチで取り組む「本業」なんでしょうね。オソロシイ会社だ。
因みに2023年のイベントや企画は別のまとめ記事も出ているので、ぜひこちらもご一読いただけたらと思います。
と、ここまで書き切ってようやく気づいたんですけど、僕もこの「関係人口」にかなり巻き込まれてますよね……
正確に言うと僕自身はワヴデザインを取り巻く「人口」の中では「交流人口」に含まれる人間ですけど、僕に関係していて、まだワヴデザインに出会ってない人たちがこの記事を読んでいたら……そう、あなたももうこの「関係人口」にカウントされているんです。してやられましたね。
ってことで、新しい年、みなさんにも素晴らしい「関係人口」が広がっていくことを願いつつ筆を置きたいと思います。
2023年12月14日
ワヴデザインさんから呼ばれている
MTGのアジェンダにうんうんうなりながら
(ありがたい悲鳴ですよ)
執筆:森田哲生(株式会社Rockaku)
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ワヴデザイン
ワヴデザインは、ブランディングやデザインコンサルティング、サービス開発支援などを手掛けるデザインファームです。領域を定めず、本質的な発想で課題の抽出から戦略立案、クリエイティブ制作まで幅広く価値を提供しています。