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国連職員を目指していたシナリオライターは何を思い、何を決断したのか。
今では到底信じられないが、受験生の頃抱いていた夢――なりたかった職業は国際公務員だった。おそらく、受験で第一志望の大学に受かっていたら、その夢を叶えていただろう。勉強に苦を感じたことがないから。
ところが、ふたを開けてみれば、来年にはシナリオライター歴10年を迎えてしまう。
後悔しているわけじゃない。
後悔するわけにはいかない。
少々特殊な職業であるがゆえ、実績は別の業界では評価されない。
例えば、ゲームシナリオの実績を出版社でアピールすると、「あ、なるほどね」……
そう、「すごいですねー」という感じにはならない。(あくまで僕個人の経験ですが)
でも、続けなければいけない。
続けないわけにはいかない。
続けられなかった若手シナリオライターが、業界に戻ってきた話を聞いたことはほぼない。たまに近い業種で働いている姿を交流会などで見つけることはあるが、んー満足しているのだろうか。一度訊いてみたい。
そういう経験をすると、なぜか自分まで挫折したかのような感覚に陥る。
いや、業界を離れた人が皆挫折を理由にしていたかは明らかじゃない。
シナリオライターは上手くいけば、営業をしなくても案件が回ってくる。
コネの重要性はもちろん重要で、コネを得る方法はいくつかあるが、なんというか、コネには絶対的に情熱と行動力とコミュ力がバランスよく備わっていないと獲得するのは難しいと思う。
少し話は逸れるが、僕は明治神宮を参拝した翌日に大型案件の話をもらえたことがあり、ゆえに毎年初詣は明治神宮と決めている。人智を超えた者とのコネ。
さて、ここで国際公務員の件に戻るのだが、
当時は国連に関わることで国際社会を変えられると思っていた。
もちろん、そこには数多の障壁が待っていることもわかっていた。
そんな目指すべき目標がゆらゆらしていたとき、世界を変えるためにできる最短のルートについてろくに精査していないことに気付いた。
政治経済に関してそれなりの弁論ができたとして、それが本来の目的を達成することへの最短ルートに行く地図であると決めつけていた僕は軽めの挫折を経験した。
発言力・影響力の重要性に気付いた。あくまでひたすらに一般人である自分が、試験に合格したとして、国際問題を……言ってしまえば、世界を変えることは不可能であり、現実的じゃない。と、インターンシップでWebライターをやりながら、焦燥感に怯える時間が増え、成績表も少しずつ追い抜かれていった記憶が今でも鮮明に思い起こされる。
で、シナリオライターとしての道を選んだのは、創作の可能性は人の心を動かすエッセンスとなり、そこに評価という価値がつけば大衆文化でありながら、どんな役人仕事よりも影響力が強いと、実感も伴いながら理解できてきたからだ。
何より、状況によっては感謝の言葉をもらえたり、全く素性を知らない人からの評価を生きる糧にできる。もちろん、叩かれることもないとは言えないが。
この記事を読んでくださった皆さんには、充実感と楽しさを仕事の中……あるいは日常の中でも、どれだけ見つけられるか意識してみてもらいたい。たまには今の道が正しいルートなのか、振り返ることも忘れずに。でも結局――
なんていうか、全ては考え方次第だと、僕は思うんですよね――。
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