マガジンのカバー画像

応募作品

30
コンテストやお題に応募した文章
運営しているクリエイター

#おひとりさま

「手」を感じるご飯

「手」を感じるご飯

一人暮らし。
仕事が終わったあと、冷たいコンビニご飯を黙々と食べる。
…味気ない。
詰め込むだけの惰性飯。
作った人の「手」が思い浮かばないような食事。
そんな時、昔のことを思い出す。



小学生の時、
母に1000円を渡された。
「これで何か食べて来て。」
お金を渡されたのは初めてで、不安で胸がぎゅっと掴まれたような気持ちになった。
「どうしよう…?」

母は、父と喧嘩するといつもそう。

もっとみる
一隅を照らす

一隅を照らす

今日も今日とて定食屋さんへ

WBCが放送されていた。
「あっ野球だ!」
と呟いた私に、
「野球好き?テレビが見えやすい席でいいよ!」
と優しく声をかけてくださるご主人。
お言葉に甘えて、テレビの正面へ。
大谷選手や吉田選手、ヌートバー選手など大活躍していらっしゃる方々を見て、
『なんて素晴らしい御方達…。日本の誇り…。ありがとう…。』
なんて日本の末梢から感謝を伝えたくなる。
特に三回での逆転は

もっとみる
おひとりさまの達人【#元気をもらったあの食事】

おひとりさまの達人【#元気をもらったあの食事】

おひとりさまが得意だ。
映画、居酒屋、カラオケ…etc
どこにでも一人で行ける。

中でも、定食屋さんに行くのが一番好き。
子どもの時から大好き。
お安いところだとなお嬉しい。

金曜日、仕事が終わって帰る。
「よしっ!」
コンタクトを外し眼鏡をはめ、ジャージに着替える。
これが私の正装。
金曜日の夜、世間では華金と言われるが、
私は一人で近所の定食屋さんへ行く。

二十代前半は、毎週のように呑み

もっとみる