【11月のAudible読書メモ③】
今週は3冊聴きました。
余韻が残る2冊と通勤電車ではニヤけた顔になってしまうので、家でしか聞けない1冊でした。
『さくら』西 加奈子
家族の真ん中に犬のさくらがいて、家族が楽しい時も悲しい時もいつも朗らかに戯れ、家族を救ってくれた。この家族にさくらがいなかったら、どこに救いがあったのだろうかと考えた。
自分の好きな人、大切に思っている人が明日も変わらずそこにいてくれるとは限らないのだから、会いたい人には会って、伝えたいことはちゃんと伝えるべきだというメッセージが埋め込まれていたと思う。
幼少期の遊びや公園に行くといつもいる人の描写は、私自身の思い出をいくつも思い出させてくれた。物語が終わったあとも自分の中にそれらの場面が何度も何度も出てくるのは、私にも兄がいるからだろうか。
『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子
静かで不思議な世界観の物語。少年が出会う人々の中で、チェスを教えてくれたマスターと深い愛情で少年の心をいつでもあたため、応援してくれた祖母の存在が忘れられない。少年が最後まできれいな心でそして強くいられたのは、思慮深い人々との出会いがあったからなのだろう。
少年の身体の小ささとチェス盤のサイズ感、それとの対比であるかのような
盤面の海、宇宙の広がり。駒を置くときの音、マスターが作るお菓子の甘い匂い、祖母がいつも使っているふきんの匂いや質感。この物語が残した小物たちや世界が、ずっと私の五感を刺激して静かな余韻が漂っている。
『新!店長がバカすぎて』早見和真
2作目もしっかり面白い。
作家さんの自己批判や賛辞がちりばめられているような描写が物語の構成と相まって実に楽しい。
次作も期待したい。
今日、聴き始めたのは『ほろよい読書』という短編小説集。一日の終わりにゆっくりと楽しみたい話が多そうだ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次のnoteでお会いしましょう。
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