『タイムマシンに乗れないぼくたち』寺地はるな
人を「頑張れ!」と言って励ますのは、実は、簡単で冷たいのだと思わされる。この短編に出てくる人たちのように、温かく寄り添うことができる人になれたらと思う。
くすっと笑えたり、心が温かくなったり、静かな余韻が残るお話。
『島はぼくらと』辻村深月
島という設定が随所に利いているストーリーだった。キーとなる大人が優しかったり、ちょっぴり腹黒かったりするのがスパイスになっていてよかった。最後の展開が早くて、途中どこか聞き逃している部分があったのかもしれない、ともう一度最初から聴き直してしまった。すると、新たな発見や伏線を拾うことができて2度楽しめた。他の作品とリンクしているらしいので、そちらも気になる。
『犬がいた季節』伊吹有喜
瑞々しくて、美しくて、懐かしい物語。時代、時代に起きた実際の大きな事件や自然災害、流行した音楽やファッションが織り込まれているので、昭和が終わる頃、10代後半ぐらいだった人には、ものすごくはまる話だと思う。
物語に出てくる匂いや音楽、絵によって読みながら自分の五感を刺激されたせいだろうか、18歳の時に考えていたこと、過ごした時間、甘酸っぱい気持ちを色鮮やかに思い出した。
絵を描くことで、思いを永遠に残すことができる人が羨ましくなる。
スマホにダウンロードした本のストックがなくなると不安になる今日この頃。次は何の本にしましょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。