【3月のAudible読書メモ②】
『ドラママチ』角田光代
日常を忘れたいとか、新しいことにチャレンジする勇気を出すために背中を押してもらいたい、読後の爽やかさがほしい、そんな気持ちの時には読まないほうがいいかもしれない。
とてもリアルな女性の焦燥感や孤独感、悩み、不安が描かれていて、うっとなるかもしれない。
救いなのは、後半小さな幸せというか、今ある幸せを見つけることができる話があったことかなと思う。
『夜明けのはざま』町田そのこ
二章「わたしが愛したかった男」の中で語られた言葉が、とても心に沁みる内容だった。ここでは、離婚した理由として語られているのだが、結婚生活で大切なことを言っていて、はっとさせられる。一緒に生きていくために大切なことを今一度心に刻まなければ!と思わされた。
仕事のやりがいと結婚で悩む主人公が下した決断に最後はエールを送りたくなる物語だ。
「繋げる」というキーワードが私の中で静かにそしてゆっくりと「死」に対して抱いていた怖さを和らげていくのがわかった。
『ついでにジェントルメン』柚木麻子
聴き終わって「あ~、面白かった!!」って思わず声を出して言いたくなるくらい面白かった。聴いている間も、きっとニタニタしていて不気味だったに違いない。タイトルに『ついでに』が付いているわけがなるほど~となる。
どの短編も面白いのだが、「渚ホテルで会いましょう」と「エルゴと不倫鮨」は、古い考えをアップデートできていないおじさまたちをバッサバッサと切っていくような痛快さがたまらない。
設定や年代が色々で突拍子もなかったりするのだが、ゲームや児童文学などの使い方がうまくて唸ってしまう。そして、1話の短編に出てくる菊池寛に始まり最後の7話の短編にも出てくる菊池寛。菊池寛が気になって仕方がない!
『身投げ救助業』菊池寛
Audibleにいくつか菊池寛の作品があることがわかり、まずは短めのこちらを聴いてみることに。
読後、因果応報、本末転倒、四字熟語が頭に浮かぶ作品。お金が絡むとこうなるよねって話。
初めての菊池寛、面白かった!
『勝負事』菊池寛
気になるタイトルに引き寄せられ・・・こちらも聴いた。
こんな場面が出てきて、昨今話題になっているアレを思い、少々苦しくなった。が、最後はなんとも和む終わり方だった。勝負事から離れられない方々がこんなふうに終われたならどんなにいいことかとちょっと泣けてきた。
『蜜柑』芥川龍之介
菊池寛のとなりに出てきたこちらも気になり聴いてしまった。
主人公の心情の移り変わり、蒸気機関車の音、蒸気機関車の黒煙とススのにおい、蜜柑の色、蜜柑が投げられるときに描いたであろう放物線などが、鮮やかに映像として頭に浮かんできた。
感動の朝ドラを観たような、そんな読後感だった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
また次のnoteでお会いしましょう。
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