見出し画像

やられ損が悲壮感を打ち晴らす:「滅びの前のシャングリラ」【書評】:ウォッカの読書記録

こんにちは。
Artery図書室 室長のウォッカです!🐸

『滅びの前のシャングリラ』を読み、
思ったことをネタバレなしで、徒然なるままに書き連ねます。
最後までお付き合いを!




作品紹介とウォッカの採点

前回に投稿したので、こちらから!



Book Review

悲壮感のない滅亡ってある?

前回のレビューでも記述したように、
登場人物たちは、壮絶な経験をしています。
ですが、本書の登場人物たちは、
まったく悲壮感がないんです。

ここ!ウォッカの琴線ポイント!🎈

辛い現実、それだけで十分お腹はいっぱいなのに、
人類が滅亡するという大オマケがつき。
それにも悲壮感どころか、むしろ希望まで見出している。
それはなんでだろう?

なぜ悲壮感がない糸口

その糸口が見える、一文がこれ。

自分が殴られたぶん、誰かを殴っても、
あたしたちが味わった痛みは相殺されない。
それを若いころに理解できていたら、
もっとちがう生き方ができていたかもしれない。
けれど、
それを理解するのには、ある程度の人生経験が必要で、
理解できたころには過ぎ去った失敗を振り返る形であることがほとんどだ。
だからせめてこれ以上を悪くならないよう、
いまさらだが堰き止めてみようと努めるしかない。

単行本 p213

してくれたら、お返ししたくなる。

少し話は変わりますが、
人って自然と「されたことを相手にする」生き物なんです。
(心理学ではこれを「返報性の原理」という。)

返報性の原理
人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱くが、こうした心理をいう

Wikipedia

だから
一度、何かをもらうと、そのお返しをしたくなり、
もらった相手は、そのお返しにお返ししたくなり、
それじゃ、お返しのお返しに、お返ししたくなり…
と、”ポジティブループ”が回り続ける。

されたら、仕返したくなる。

だが、その「お返し」したくなるのは、
ポジティブなことだけではないのが、注意ポイント⚠️

そう、ネガティブなことも同様なんですよ…。
(心理学ではこれを「敵意の返報性」という。)

だから、壮絶な経験をしていると、
同じような経験を他人にさせてしまう

そして、仕返しが続く”ネガティブループ”が回り続ける。

ネガティブループ脱却には、やられ損

もし、あなたが仕返しをし続けていたら、
今後の人生はずっとネガティブループの中に居続けることになる
ゆくゆくは、ネガティブループ村の住人となり、夢のマイホームを建て、
眉間に「ネ」の文字が浮かび上がってくるでしょう。笑

そうはなりたくない。
マイホームはまんざらでもないが、
眉間に「ネ」は絶対にイヤだ!ダサい!

でも、それには、ネガティブループを堰き止める、
つまり、一旦のやられ損を被らないといけない。
(プライドだけはいっちょ前のウォッカには、かなりキツい…)

悲壮感がない理由は、やられ損だ!

本書の登場人物は、引用した一文にもあるように、
自分と同じ思いをさせないように、堰き止めるよう努力している。

人類が滅亡しようとも、
”ネガティブループから抜け出す” ”一旦のやられ損を被る”という、
明確な意志を持ち、現実に立ち向かっている。
その活力さに、辛い現実がもたらす悲壮感を
打ち晴らしてくれているんだろう。🤔

されたからといって、自分がしていい理由にならない。

この言葉を胸に刻んで、一旦のやられ損を被ろう。
エベレストに肩を並べる高さを誇る、ウォッカのプライドも
富士山くらいにしといてやろう。

ウォッカの器の小ささがバレる前に、
今日はこのへんで!



よろしければ、X(旧Twitter)で「#ウォッカの図書室」をつけて投稿
もしくは、このnoteにコメントくださいね!

最後までお読みいただきありがとうございました!🐸
次回もお楽しみに!✨



#ウォッカのブックレビュー #読了記録
#読書 #日記 #書評 #小説 #滅びの前のシャングリラ #凪良ゆう #スキしてみて  


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集