歯みがきは生き方に通じる
これは、中学生の歯みがき指導で使用したプリントを、私の手帳のメモから引用したものです。
◎歯と歯肉の観察
・歯は全部で何本ありますか。 本
・むし歯はありますか。 ある・ない
・歯肉炎はありますか。 ある・ない
◎歯みがき実習
・歯ブラシは見本と比べてどうですか。 適している・少し大きい・広がっている
・プラーク(歯垢)の染め出しした状態をスケッチしてください。
1回目、2回目
右上の前歯1本(おもて・うら)
左下の奥歯1本(おもて・うら)
歯の形を手鏡を見て書いたあとに、プラークの付いているところを濃淡をつけて色鉛筆でスケッチします。歯の裏側や頬側、唇側はデンタルミラーを使って観察します。
1本磨きに挑戦
1回目のスケッチのあと、顎模型で基本の磨き方をレクチャーします。
その後、各自1本のみ歯ブラシの当てる角度、圧、歯ブラシを縦にしたり横にしたりして、歯の面に垂直に当て動かし方を工夫します。
あくまでも1本にこだわります。前歯と奥歯それぞれ1本ずつです。
確認染め
2回目の染め出しをし、本当にプラークが落ちているのかを確認します。
プラークは磨き残しがあると地層のように重なって歯に付着します。
これが、むし歯や歯肉炎の原因になるということ、毎日取り除いておく必要があること、各自自分の歯にあったみがき方をすることが大切だという「気づき」になります。
デンタルフロスの使い方(糸ようじ)
歯と歯の間は使い捨てのデンタルフロスや糸ようじ(奥歯用)を使います。一気に糸を歯と歯の間に入れると歯肉を傷つけるので、のこぎりを引くように歯と歯のくっついている部分を過ぎるまで動かし、その後片方の歯の面に糸を沿わせて上下に動かします。歯肉を傷つけないようにして、ぬるぬる(プラーク)が取れてキュッキュッと音がするまで続けます。同様に反対側の歯の面にも行います。
歯みがきは個人作業です
歯みがき教室で歯を赤く染めてみんなで一斉に歯のみがき方を練習するのも楽しいイベントです。しかし、歯みがきは個人作業です。
自らの歯や歯肉をよく観察し、工夫しながら歯をきれいに磨く作業は、一人ひとりやり方が違います。
1日でもみがけていないと、プラークは地層のように蓄積し、1回の歯みがきでは取り除けなくなります。
歯みがき実習を終えて
・歯みがきをして歯肉から出血はありましたか。 はい・いいえ
・実習後歯の表面がつるつるした感じはありますか。 はい・いいえ
歯みがき実習の感想
・赤いところは、どのようにしたらとれましたか?
歯みがきをして血が出ましたか?
はい・いいえ
※出血は歯肉炎の疑いがあります。
歯の形は一人ひとり違います
人間が一人ひとり固有の独特な存在であるのと同じで、歯の形も色も歯並びも噛み合わせもそれぞれ違います。
余談ですが、ある時ふと気がついたら、親指の爪の形と顔の形が似ているなと思いました。皆さんも上の前歯と親指の爪の形を比べてみてください。
親指の爪は、歯みがきの練習で使うことがあります。
自ら固有のかけがえのない存在であることを認め、あらゆる角度視点からものごとを見て、その時の課題を試行錯誤しながら、失敗と成功を繰り返します。
適切な行動によって改善され、適していない行動によって悪化します。
悪化したものは改善するために、日々のケアや生活、人の手を借りて、より良く生きようとします。
しかし、時にはこれらができなくなることもあります。
それでも、生きようとする力が再び起き、自らに向き合い挑戦します。
楽しくなったり面倒になったりの繰り返し。それでも、やらないわけにはいきません。
生きるため、人とつながるため、自分を実現させるため。
これは、歯みがきと通じるものです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
私が目指しているのは孤立のない共生社会の実現です。