みんなで作文
〈みんなで作文〉とはメンバーシップ・エディターコースの名物イベント。
名物といっても過去に一度やったことがあるだけだけど、十分に名物といえるだけのインパクトをそなえている。
参加メンバーが順に文を後ろに足して長い作品を作るという単純なお遊び。
児童文学になるのか青春群像小説になるのか、はたまたホラーになるのかは参加メンバー次第。
冒頭の3文だけは僕が仕込み、参加メンバーがその後ろに足していく。
前回は参加7名で、21日間のうちに48回足され、5063字の小説になった。
すご!
第2弾開催!
9/17~10/4で唐突に第2弾を開催した。
今回はちょっと短い13日間。
僕はこんな冒頭の3文を用意して、メンバーの参戦を待った。
そしたらなんと、今回も7名が手を挙げてくれた。
前回から連続参加の方もいれば、今回お初の方も。
まぁでも今回は前回より1週間近く短いし、そんなに長い小説にはならないだろうと思った。
ところが、フタを開けてみるとなんと…
13日間のうちに115回足され、9954字の小説に!
ふへぇ!
仕上がった作品
以下、仕上がった本篇を掲載するので、とくとお楽しみいただきたい。
その後ろに講評を載せているので、そちらもあわせてご覧いただければ。
それと本篇は最後時間切れで終了し、明確な結末には至っていないから、僕が最後を締めくくってみた。
作品はこちら
(空行の箇所で7名の執筆者が次々と交代している)
以上が7名が繋ぎに繋げた小説だ。
いやぁ、とにかくすごいのひとことに尽きる。
講評
いきなりの緊迫感を持った冒頭3文は、みごとに7名によって料理された。
次々とキャラクターが登場し、それぞれがきちんと個性を持ち、役割を演じ、作品にとってなくてはならない存在感を放つ。
何やその切り返し!という分岐点は随所にありながら、所与の緊迫感は7名の誰もが共有し、最後まで息をつかせない展開となった。
7名は自然発生的に仕掛け人と仕掛けられ人に分かれ、まるで漫才のボケ・ツッコミのように、能楽のシテ・ワキ・ツレ・アイのように、狂言のシテ・アドのように(…もういい?)、役割分担が見られた。
みんなでいっしょにやる「共同」作業と思って始めた〈みんなで作文〉だけど、実際にはみんなで分担しながらやる「協同」作業だったのだ。
脇道に逸れそうになる(というか逸れさせようと暗躍する人もいる)のにまたしっかり本篇に復するのは、7名の協同が生んだ「レジリエンス」(回復力)といえる。
実は本作の展開にもっとも効果的だったと思われる文を選定しようと思っていたのだが、その目で何度読み返しても定まらない。
7名が紡いだこの1万字すべてがいとおしく、意味と役割があり、そこに優劣なんてつけられなかったのだ。
そして、ぶしつけながら僕が最後の3文をつけ加えさせていただく。
どうか作品の空気を壊さないものでありますように。
おあとがよろしいようで。
(2024/10/6記)