ゆっくりするには人が多すぎたが、中華な一日を楽しんだ
昨日は旧暦の元日、中国でいう〈春節〉だ。
長く神戸に住んでいるのに、昨日初めて春節祭に行った。
神戸・元町の〈南京町〉は、〈横浜中華街〉〈長崎新地中華街〉とともに日本三大中華街といわれる。
横浜も長崎もかつて中華街を南京町と呼んでいたが、「南京」という言葉に侮蔑の意味が込められていた時代があったため、現在は中華街と呼ぶ。
神戸だけが引き続き南京町の呼称を使えているのは、日本人と華僑の関係が良好だったからという。
横浜中華街より小規模で、多くの観光客が、え?これだけ?と驚く。
神戸には横浜の倍ほどの華僑がいるが、横浜がそこに住みながら商売しているのに対し、神戸の華僑は閑静な山手に住んでいるからだ。
その分、店だけがコンパクトに並び、車も通らないから、店頭の点心をのんびりと食べ歩く人が多いのが特徴の町。
耳をつんざく爆竹の爆音で〈春節祭〉が開会した。
中心部の南京町広場では、中国の伝統芸能が披露されていた。
多くの観衆が集まる中、午前中は〈変臉(へんれん)〉。
〈変面〉とも呼ばれ、一瞬で仮面が変わる人気の演舞だ。
20分ほどの演目の中、10回くらい仮面が変わったが、本当に目にも止まらぬ早技で、一度たりともからくりは見破れなかった。
幕間に元町駅前の〈四興樓〉で豚まんを挟んで腹ごしらえ。
午後からはいっそうの人出でごった返し、東西を結ぶ街路は歩くのもままならないほどで、感染症以前の賑わいに戻ったよう。
この祭の期間限定で、商売の神として崇められる「関帝さま」(三国志の関羽)が、山手にある〈関帝廟〉から広場に来臨していた。
人また人の中、獅子舞の演舞。
日本の獅子舞の原型ともされるが、どちらかというと鬼の形相に近い日本のそれより、丸っこくてかわいい印象だ。
迫力ある演舞自体は申し分なかったが、舞ったのが神戸中華同文学校(中華学校)の小中学生で背が低く、なかなか見えないのが難点。
気軽に中国の伝統に触れることができるのは神戸ならではだろう。
ゆっくりするには人が多すぎたが、中華な一日を楽しんだ。
政治レベルではいろいろある日中関係だが、それとは別に民間レベルの友好は好ましいし、歴史的に日本の先輩であり続けた国という目で中国を久々に見ることができたのは有意義だったとも思う。
(2023/1/23記)
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