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泣く人

女 『私のために泣く人

君、貴方

私のための涙を流す人

顎を上げて広げられた世界を見なさい

山は朽ち果て

時には緑

時にはオレンジ

空には恐ろしい渦を巻くモンスター

それでも

愛おしい人よ

顎を上げてください

甘くて優しく簡単なことばかりではなく

この山を越えるのです

いつも何度も山を越えてください

堕ちた場所からまた始めます

太陽も時には味方しましょう

好い加減な友は置いていきなさい

嘘をつく者は置いていきなさい

私のために泣く人

君、貴方

私の夢をみて泣く人

庭の手入れは済んでますか

春に芽吹く流線型の若葉

二つに別れたものが

一つに引っ付いて生まれるものです

貴方が嘘を重ねず

貴方が真実のみで生きるならば

とても苦しいでしょう

しかし

それをしなければなりません

なにもないと打ちのめされても

この人生になにもなかったと

打ちのめされても

また山を登ります

泣きながら

笑いながら

貴方は超えなくてはならない

誰にも言ってはなりません

貴方の真実はなりません

“話さないことは嘘をつくことではない”

ただ、話さないだけのことです

口を開いてから後悔などするな

角を曲がればもうその人は違うかもしれない

雲があり陽があり雨も降る

そういう事です

私のために泣く人

貴方の手のひらの凹みの中

それらを溜めてください

貴方がまたそれを

飲むときがきます

貴方にまた会えますよう

彼方でまた会えますよう

走って
走って
走って

歌って
歌って
歌って

笑って
笑って
笑って

私のために泣く人

顎を上げて垣間見れる青い色

灰色の中にある真っ青な色』

男 【あゝ貴女あゝ貴女
涙は止んだ
僕はそのように行こう
貴女のために泣くけれど
僕はそのように行こう】

私 (愛おしい人たち
どちらもまるで
一つに引っ付いて生まれた若葉のよう
いつか二つに別れてしまうのに)

私 (馬鹿みたいだな、それが恋)

2016/01/19
virginwolf


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