農具を持つ少女/ヨハネスフェルメール(Girl with farm tool)
「なぜ農具を?」と皆様お思いのことでしょう。
実は鋳造でできた鉄製の農具というのは17世紀ドイツで初めて大量生産されるようになりました。それまでの金属製品は鍛造によるものや加工しやすい青銅によるものが主でした。
だから17世紀オランダで『鋳造で作られた鉄製農具』を入手するというのは豊かさの象徴として捉えられます。少女が巻いている青いターバンにしても中東からの輸入品と考えられます(同様なターバンはフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』(蘭: Het meisje met de parel, 英: Girl with a Pearl Earring)でも見られるとおりです)。
つまりこの絵は少女の美しい顔をメインにしつつも、実は貿易により栄えたオランダ黄金時代の市民階級の豊かさをアピールする作品となっているのです。
未公開作品。制作年不明。収蔵元非公開。