新しい時代の食料生産。ローカルで自給圏を~消費と生産の連携へ
新年の恒例となっている
日本農業新聞の新年1月1日号にコラム書きました。
ローカルで自給圏を~消費と生産の連携へ
農産物は遠くにいる人や国に売る商品である前に、とれた農場の隣人に届くことが、環境・人権・福祉を網羅したSDGsの基本原理である。
だが、現市場システムが抱える大きな課題は、生産と消費の乖離によるものである。
食料高騰にあえぐ消費者と価格決定権のない生産者。
市場流通システムという方法は、本来は手をつなぐ仲間である都市と農村、消費と生産の間に分厚い壁を作り、両者を離れ離れにした。
「有機」の名付け親で、産消の「提携」を唱えた一楽照雄は、「生産者と消費者の提携は、単に商品の売り買いではなく、人と人とが友好的、有機的につながり、助け合う関係」としている。
そのためには知の共有、五感による生身の教育が欠かせない。
一極集中の市場流通システムは、大量消費社会には便利であったが、小回りが利かず、分断を生みやすい。例えわずかでもサブシステムとして、ぬくもりある手渡し、ローカル自給圏が望まれる。
産業としての農業は、大規模に集約することができる。しかし、命の糧となり、教育の種になる小さな食と農は、近所になければならない。
地域連携策の一つには学校給食が有効で、細やかな公共調達にこそスマート化を進めるべきである。
今や150か国に広がるイタリア発の地産地消スローフード運動では、
生産者とつながる賢い消費者を「共同生産者」と呼ぶ。消費者はお客ではなく、共にゴールを目指す仲間なのだ。
地域で作る人と食べる人が手をつなぎ、時には体験し、物だけでなく、
知恵や笑顔や感動も分け合えたなら、その延長にこそ、日本農業の強さはある。
今年も感動ある農業、農村の物語を旅して伝えたいです。
よろしくお願いします。
ベジアナ あゆみ