一山こえた
ふっと力が抜けたら、急にお腹が空いて眠たくなった。
人間って気が張っているときは、人間らしさを忘れてしまうらしい。
忘れていたことも忘れていたようで、何だかぽっかりしている。
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伯父の命懸けと言われた手術は思っていたよりあっさりと、そして無事に終わった。付き添いといっても、帰ってくるところで一言二言話した程度。
手術に耐えうるかどうか心配だったが、思ったより元気そうでなにより。
神様という神様を拝み倒していた祖母に連絡したらほっとしたようで、そこからはずっと上機嫌だった。こちらもなにより。
手術をしたら終わりでは無いことを祖母は知らない。これから先の方がずっと大変で、まずはリハビリ病院への転院、そしてその後どこで過ごすのかを考えないといけない。
伯父がある程度自立している前提で色々と話を進めていたので、そのあたりの予定が一気にひっくり返ってしまった。おそらくもう一人暮らしはできないだろうから、施設に入ることになるが、自己破産の話も宙に浮いている。
手続きを進めるためには、成年後見制度を使うのか否か、そもそも私がどこまで関わるのかなど、考え出したらキリがない。
祖母の方もまだ住民票を移しておらず、包括との再契約もできていない。
もうあと何日か平日に仕事を休まないと手続きが終わりそうにないだろうな、とスケジュール帳と睨めっこ。仕方ないとわかっていながらも、こうして多くの選択肢や可能性が狭められていくんだなという寂しさもある。
そして何もかもがスムーズに進まなくて、私自身ももどかしい。
今だけだから、と思っているがその終わりがいつになるのか。
伯父の状況を鑑みるに、長丁場になりそうな予感もしている。
これから先、悪くなることこそあれど、よくなっていくことはないと言われているので、その辺りは覚悟しながら本人の希望と現実的なところとの妥協点を見つけていく感じになりそうだ。
大きな山を越えて私もほっとしている。
明日はゆっくり休みたいと思いつつも、今日半休取った分しっかり働かなければ。私には私の生活があって、その基盤が保たれてはじめて他の人のことができるのだから。