火事息子

大阪 串かつ屋見習い

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七福神日誌37

十時起床。強風。 台風なので、今日は店を閉めることにする。 そのむねバルチカ店のメンバーに連絡して、朝食に妻と砂糖パンを食べる。 ガジュマルに水をやる。 居間のソファーで、久しぶりにのんびりした気分でマンガを読んだり映画を見たりしていると、外で賑やかな笑い声がして、ぞろぞろと大工たちがあがってくる。 この風のなかロフトに手すりをつけにきてくれたとのことで、ついでにテレビを地上波と繋いでもらったり、ベランダの鍵の不具合をみてもらう。 昼頃、帰る大工たちから「じゃあまた」「明日も

    • 七福神日誌36

      祖父が死に、お盆明けまで何日か待って、妻と岡山に帰る。  月曜日に家族葬。 前日に義母が西宮を走り回って買い集めてくれた喪服のセットを着て、九時に斎場に着く。 受け付けに立っていた従兄弟の長男に新品の服を見せびらかすと、義母に喪服を買わせた話がもうここまで届いていたのか、おめえ自分の着るもんくれえ自分で買えやぁと笑われる。 開始の前に祭壇を見に行くと、祖父の安置された棺の上に自筆の遺書が置かれている。 冒頭にしっかり『遺言』とあってかなりぎょっとしたが、目を通すと、頑固者の自

      • 七福神日誌35

        七時起床。 八時に七福神バルチカ03店。 社長、ユウさん、チカさんたちと朝の仕込みを始める。 今日はいたって段取りがよく、食材の納品も早めに来てくれたので開店の一時間前には全ての準備が完了する。 午後から本店に戻る社長を見送り、入れ替りでやって来たリキさんとポジションの打ち合わせなどをしていると、母から電話があって、入院中の祖父の腕にチアノーゼが出たと知らされる。 すぐに帰ってこいといわれて、よくわからないが危篤ということだろうかと思うのだが、店のことが気になってなかなか離れ

        • 七福神日誌34

          六時起床。日曜日。 今日は淀川の花火大会。 七時に七福神バルチカ03店へ出勤。 リキさん、社長もきて、一緒におにぎりを食べながら開店準備を始める。 八時に仕込みのスギさん、ユウさんも合流。 メディア向けのプレオープンから数えると今日でちょうど七日目の営業をむかえることになり、朝の仕込みの流れにもやや余裕を感じられるようになった。 あれこれとオリンピックのことなど話題にしつつ、各ポジションで肉を切ったり串を刺したり。 途中、社長が食洗機を回そうとしてお湯が出ておらず、店のガスが

        七福神日誌37

          七福神日誌33

          六時起床。 ついにイノゲート大阪のグランドオープン。 七福神バルチカ03店で、七時から二十四時まで働く。 この三日間、三連続で毎日なんとかオープンというのがあって結局どの日が正式なオープンだったのかよくわからないが、営業中はどの店も満杯で、通路にも常に人が溢れてお祭り騒ぎだった。 今日は大音響で何か歌を流してひっきりなしにお客を踊らせている店もあり、ちょっとびっくりしたが、営業後には従業員そろって「大変お騒がせしました」と頭をさげに来られ、さらに驚かされた。 「好きな曲がいっ

          七福神日誌33

          七福神日誌32

          六時起床。 七時半に七福神バルチカ03店へ出勤。 今日はイノゲート大阪のプレオープンということで、全店十一時に開店することになっている。 とはいえ七福神が入った五階はいわゆる高架下居酒屋といった毛色の店が多く集められたフロアで、あまり早くから来て準備する店は少ないのではないかと思っていたが、どこも八時には大勢集まってがやがやと作業を始めている。 うちも社長、リキさん、ユウさん、スギさん、ムラさん、一号店からヘルプでアネさんにも来てもらい、俺と妻も入れて総勢八人体制での仕込みと

          七福神日誌32

          七福神日誌31

          六時起床。 準備して、妻と家を出る。 七時にイノゲート大阪へ出勤。 社長、リキさんと食材のスタンバイを確認し、開店に向けた仕上げの作業を行う。 妻はテレビの接続を見たり、勤怠管理アプリの設定をチェックしている。 八時にテッちゃん、ユウさん、チカさんがやって来る。みんなで掃除。 社長と妻が抜けておにぎりを買ってきてくれる。 せっかく綺麗にしたものを汚さないよう、カウンターの隅に集まって食べる。 九時開店。 今日は九時から十二時までは、メディア関係の方が対象の内覧会ということで、

          七福神日誌31

          七福神日誌30

          七時起床。 妻がおにぎりを握ってくれるのを待って、家を出る。 梅田へ。昨夜義母が作ってくれた大量のゆで玉子も持っていく。 二号店へ出勤。 すでに社長が来て、そわそわと落ち着かない様子でテーブルを拭いたり配達の人に話しかけたりしている。 とうとう明日からイノゲート大阪での営業が始まる。 明日、七月二十九日がメディアプレスの一日で、その翌日が何か会員様向けのプレオープン。 そしてその翌日、七月三十一日が、正式にはイノゲート大阪内バルチカ03のグランドオープンの日となっている。 物

          七福神日誌30

          七福神日誌29

          九時起床。ガジュマルに水をやる。 今日は休日。 家の階段の塗装が始まったので、妻と荷物を持ってまた仮住まいのマンションに移る。 三日ほどしてペンキが乾いたら帰ってこられるとのこと。 「一気にやっちゃいます」といって見送ってくれた大工の手にでかい字でレッドと書かれた塗料缶が握られていて、少し不安になる。 数日前、ふいに始まった外壁の塗装は途中までグレー単色の落ち着いた仕上がりで、最後に家の一角を一階から三階まで太く一直線にオレンジ色に塗りあげて終わった。 これはタイ旅行中の義母

          七福神日誌29

          七福神日誌28

          五時起床。朝番。 顔を洗い、七福神二号店で使う発注表やレシピの一覧表をざっくり仕上げてしまう。 六時半に出勤。一週間ぶりの本店。 このところ毎日イノゲートビルで保健所、消防署関係の申請書類の作成や搬入業者との打ち合わせがあり、開店準備にかかりきりだった。 社長が七時にやって来て、朝食に巻き寿司をくれる。 食べて、野菜、肉、シーフードをカット。 八時にママさんと、仕込み場新人のスギさんが合流。 二号店所属のスタッフも先週から研修で本店に出勤してもらっている。 十時にスギさんと抜

          七福神日誌28

          七福神日誌27

          九時起床。 起きてすぐ、足音がうるさいと二階の義母から苦情が入り、急遽リフォームの設計を担当してくれているO先生をお呼びする。 三階の床材で部分的に木のみを敷いている箇所があって、どうしてもそこは下に音が響いてしまうとのこと。 外で作業していた大工達にも来てもらい、みんなでどの程度音が響くのか試す。 三階に妻、大工らがあがり、キッチン回りを走り回ったり、椅子を転がしたりしてもらう。 それを二階で俺と義母、O先生が確認する。 どたばたと走り回る音、椅子の転がる音が聞こえる。 こ

          七福神日誌27

          七福神日誌26

          十時起床。休日。 二階から義母がプリンを持ってきてくれる。 朝食にもらって、求人の整理。 面接の案内、採用連絡など。 その後、居間で『ロボコップ』を観ていると妻からメールが届く。 無事に富士山頂にたどり着いたとのこと。 実は妻は昨日から前の職場の同期達と富士登山に出掛けている。 山腹の宿に一泊し、丸一日がかりでの踏破。 目出度い。 山頂の奥宮でしばらく休んで、下山したら盛大に温泉に行きますとあった。 「福女ですね」とメールを返す。 十四時に外出。 自転車に乗って蝸牛へ行く。

          七福神日誌26

          七福神日誌25

          十二時起床。 今日から夜番。 昨日は風呂上がりに本の整理を始めて、気がつくと司馬遼太郎の『世に棲む日日』を読んでいた。 これは大好きな小説で、読みながら床にビールやスナック菓子も広げてついだらだらと夜更かししてしまい、眠気が残る。 顔を洗っていると二階から、義母が昼飯に竹輪のチャーハンを持ってきてくれる。 平らげて家を出る。 今日は洗剤屋やイノゲートビル関係の人と何件か会う約束があり、名刺入れを持っていく。 名刺のデザインは妻が考えてくれた。 白黒で余白の多いシンプルな仕上が

          七福神日誌25

          七福神日誌24

          十時起床。休日。 妻の実家のリフォームが概ね完成したので、仮住まいのマンションからそちらへ移る。 昼過ぎに義母に車を出してもらい、三往復ほどする。 今後は二階が義父母の住まいで、三階が妻と俺の住まい。 それとは別に、一階で妻の従姉妹のマイさんという方が、元は三十年ほど前に義母が始めた美容のお店を現在引き継いでやっていて、今日はマイさんとその中学一年生、小学六年生の二人息子も来て、一緒に荷物の上げ下ろしや片付けを手伝ってくれる。 長男がハヤテで次男がトモキ。 二人はこの夏、この

          七福神日誌24

          七福神日誌23

          五時起床。 ガジュマルに水をやる。 ヨーグルトを食べて、六時半に七福神出勤。 体調を崩して何日か寝込んでいたため、新店準備や発注表の整理、レシピの作成など、やることを沢山ためてしまった。 求人を見ると新規で三十件来ている。 半分ほどに希望条件の確認や面接日の案内を送り、朝の作業を始める。 今日はすじこんを多めに仕込む。 キャベツも五玉カット。 粉は六キロ練る。 アネさん、ママさん、社長も合流して清掃、串刺しを分担。酒屋の発注を済ませ、向かいのローソンでコーラを買って飲む。 十

          七福神日誌23

          七福神日誌22

          五時起床。 六時に七福神。 まだ仕事に慣れないので本当ならもっと早く来て準備しておきたいが、店のある第四ビルのシャッターが開くのが早くて六時なので、どうしてもこの時間からのスタートになる。 冷蔵庫、キッチンの掃除をしてすじこんを作り、キャベツをカット。 続けて肉、シーフードも切って野菜の仕込み数を決めていく。 八時にママさん、九時に社長が来る。 三人で社長が買ってきてくれたマクドナルドのハンバーガーを食べながら作業を進める。 ラジオでメジャーリーグのニュースが流れていたので、

          七福神日誌22