七福神日誌37
十時起床。強風。
台風なので、今日は店を閉めることにする。
そのむねバルチカ店のメンバーに連絡して、朝食に妻と砂糖パンを食べる。
ガジュマルに水をやる。
居間のソファーで、久しぶりにのんびりした気分でマンガを読んだり映画を見たりしていると、外で賑やかな笑い声がして、ぞろぞろと大工たちがあがってくる。
この風のなかロフトに手すりをつけにきてくれたとのことで、ついでにテレビを地上波と繋いでもらったり、ベランダの鍵の不具合をみてもらう。
昼頃、帰る大工たちから「じゃあまた」「明日もお邪魔します」と声をかけられて、明日も何か作業があることを知る。
結局リフォームがいつ終わるのかいまだわからず、そろそろ義母も妻も呆れだした感じだが、気が良く、腕も良いことは確かな人たちなので、俺としてはとにかく最後まで丁寧に工事してもらえたら文句はない。
昼飯に、妻とスパゲッティの店にいく。
八月の新作で豚バラ胡麻ドレスパゲッティというのが出ていたので、食べる。妻はからすみのスパゲッティ。ビールも飲む。
その後、マウリオラでパフェを食べ、ニトリへいって串かつ屋で使う皿などを買ってくるという妻と別れて俺は駅前の理容室へ散髪にいく。
さっぱりして、アクタの本屋で何冊か本を買い、マクドナルドでマックフルーリーを食べる。
休暇が嬉しくて、たまに店や道端で知り合いと会うと今日は台風で休みですと得意気に話してしまったが、どの店も開いていてみんな普通に外出しているところをみると、今日はうちも全然やれたかもしれない。
しかしこの一ヶ月、イノゲート大阪は毎日嵐のような来客で、七福神も日々数千本の串を仕込んではひたすら揚げて揚げ続けた。
新人揃いの新店舗でずっとタコ殴り的な忙しさのなか、どのスタッフも本当に良くやってくれたと思う。
今日はみんなにとって必要なお休みだった、のんびりできましたね、と帰って妻と話し、居間でまたマンガを読んでいると社長から電話がある。
でると、「お疲れ様です。来月からひとり社員が増えます。バルチカ店に配属するので、店長とロキくんで分担してまずは朝晩の開店、閉店作業を覚えてもらうこと。研修日程を組んで、共有してください。それから、実は第二ビルにもう一軒、空き店を持っているんですが、どうしますか?来年は万博もありますが」という。
なんともいえず、どうしたものかと妻をみると、話がきこえたのかソファーの上でぴたっと動きを止めている。
そこへ二階から義母があがってきて、七福神でランチにトンカツ定食を出せばいいじゃないという。
義母の相手を妻にまかせ、ベランダにでて社長と話す。
若干の討論があったが、最後には、「実はまだ少し体力を温存してんねん」という社長に押しきられて、三号店のオープンを現実的に考えていくことに決まる。
部屋に戻ると、妻がまだトンカツ定食のプレゼンを聞かされているところで、義母に「でもうち串かつ屋やねん」といっている妻を横目に、俺はまたソファーに寝転んでマンガを読みはじめた。