中学校教師 #63 数学の授業づくりを言語化する④
おはようございます。
中学校教員、うたういぬです。
2学期の授業の準備を進める中、1学期の授業づくりを振り返ります。
前回の記事に続いています。
前回の記事はこちら↓
今回は、④第3観点の評価です。
主体的に学びに向かう態度=第3観点
私が若い頃は、「関心・意欲・態度」という名前でした。
テストで評価することができず、難しいなと感じていた観点です。
初任者の頃、生活科の観察カードを評価に活用しました。
夜遅く、大量のカードを教室でチェックしていたことを思い出します。
その時は、「評価の時期に自分が困ることがないように授業をしなければ」と思っていました。
そう、自分の働き方のことばかり考えていたのです。
経験を重ねても、このような思いはなかなか変わらず、とりあえずあの手この手で評価を続けていました。
成長したことと言えば、コツコツと評価をするようになり、成績処理の時期に困ることは少なくなったことくらいです。
そして、私は中学校へ異動することになります。
中学生、高校受験のために評価や評定はシビアなものになります。
いきなり中学3年、受験生の数学を担当することになりました。
授業者が変わるわけですから、評価や評定も変わる可能性は高くなります。
それでも、評価に対して「なぜこの評価?」と問われることが多くなると感じていました。
だからこそ、私なりに評価のポイントを明確にすること、それらを生徒とできる限り共有することを心掛けて授業を進めました。
悩み
1つ1つの章のまとめとして、課題を課すことで、第3観点の評価を重ねました。
その中で、指導の評価の関連を考え、悩んでいたことがあります。
・章のまとめというタイミングは、本当に適切か?
・この評価は、生徒がよりよく学ぶために生かすことができるものか?
生徒の姿を見ていると、1つの章ごとという区切りは長いように感じました。
もっと、タイムリーに評価が次の学びに生きるべきだと思いました。
そうなれば、生徒が生き生きと学ぶ姿が見られると思ったからです。
そこで、今年度は以下の点を意識して第3観点の評価をするようにしました。
・授業の振り返りの記述に対して、評価を入れる。
→何点か、見える化することで、日々の授業を本気で頑張ろうとする生徒の姿につなぐ
・学習目標の達成ができているかチェックする課題を入れる。
→文章記述だけでなく、問題を解くという課題を扱うことでやることが明確になる
・最低限の課題(基礎)、加点する課題(発展)の両方を入れる。
→なんだかできそうだと思えば、発展問題もやるようになります。
章の最初から、これらの問題を確認できるため、コツコツ進めることができます。
実際のレポート・振り返り用紙
このようなワークシートを事前に配付します。
(A4、両面印刷)
【レベル】
授業で目指すレベルを示した表です。「わかった」「できた」で終わることなく、上のレベルを目指すことで、学びを深めることをねらいとしています。
【心マトリクス】
1学期の途中から載せるようにしました。
振り返りの際に、生徒が自分の学びを客観的に捉えることができるようにすることを狙いとしています。生徒も「今日は太陽学習ができた」「今日は月だったので、明日は…」と書くようになりました。
【目標】
学習指導要領における目標の言葉を(完全ではないですが)抜き出しています。
また、教科書の記載から学習目標を抜き出し、掴むことができるようにしたいと指導しています。
【振り返り】
授業の最後、5分間を活用して生徒が書いています。
学習内容に関すること、学習方法に関すること、+、−、→の観点を使っています。
【評価】
振り返りの記述に対して、★印を書いています。
★:ナイスな振り返り
★★:学級に紹介したいほど、ナイスな振り返り(新しい視点)
★★★:学校全体に広めたいほど、マーベラスな振り返り
上のワークシートは、6時間相当の小単元なので、基本点を2点×6時間=12点としています。小単元が終わり、レポートを提出する際に、★の合計数を記録して、第3観点の点数として入力します。
基本、1時間の振り返りについて、★1つはつけるようにしています。12点中6点。50%の成果。これでBですね。
裏面はレポート課題です。
文章を作るような課題ではなく、問題を載せています。
「問題が解ける=学習目標を達成した」という考えで、このような課題を課しています。
最低限の明示ということで、必須問題は必ず取り組むように伝えています。
教科書の問題、基礎的な問題を中心に載せています。
※デジタル教科書が使えるので、コピペが楽です。
また、選択問題は難しい問題を載せています。教科書の発展問題。
限られた時間でこれらの問題を解くのは難しいですが、小単元の最初からレポート用紙を配付しているので、時間はたっぷりあります。早めに解けた生徒が、ヒントを出して一緒に解くという姿も見ることができます。
数学が得意な子は、ここでヒーローになれます。
また、ひらめきで問題を解くきっかけを得た子が、一発逆転ヒーローに転じることもあります。
必須問題が全て解けたら、6割程度の点を第3観点に加算します。
この時、表面の振り返り点の上限を基準とします。
つまり、振り返り:レポート課題=1:1が目安です。
このような形で指導、評価を続け、生徒の姿も変わってきました。
なんとなく振り返りを書いていたり、適当に問題を解いていたりしていたのが2年生。
3年生になると、振り返りの内容は鋭いものが増え、レポート課題は友達と協力しながらどんどん解き進めることができました。レポートの提出率が上がり、提出されたレポートはそのほとんどがB評価以上でした。
また、その評価を生徒自身もつかむことができるので、次の学習への意欲も高まる様子が見られました。
複数の記事に分けて、1学期の数学の指導を振り返りました。
数学の授業を通して、生徒が自分の学びをつかみ、磨こうとすることができた点が成果だと思います。2学期は計算領域だけでなく、関数や図形の領域の学習をします。引き続き、良い学びを作ることができるように準備を進めます。
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