春の病院見学、マッチングで大切なこと
病院見学ノ時、先生方ノ仲ガ良ク、良イ雰囲気ガ伝ワリマシタ。
各科ノ垣根ガ低ク、色々ト相談シヤスイ環境ニ惹カレマシタ。
3月に入ると、医学部新5、6年生が次々と病院見学にやってきます。
目的はただ一つ、マッチングに向けた見学です。
マッチングとは、ざっくり言うと医学生が初期臨床研修を行う病院を決める就職活動の様なモノです。
学生は見学したい科を選択し、検査や手術、病棟業務、施設などを見学し、最後に初期臨床研修医との質疑応答の時間があり終了、
こんな流れかと思います。
冒頭文章は、見学に来た学生さんから良く耳にする挨拶です。
コレはワタシ達に刺さる言葉なのでしょうか?
ワタシの病院(人気病院?と周知されているようです)では、
見学者への説明や指導をお願いしているのは、初期研修医の先生達です。
一年目の先生は、学生さんとのやり取りが初めての後輩指導となるため、
気合が入っていますし、能力向上に一役買っていると考えています。
ワタシの完全な私見でありますが、
どのような病院に見学へ行く、就職すれば良いかのアドバイスです。
(見学に来てくれた学生たちにも話しています。)
見るポイント、決め手のポイントというのは、人それぞれ異なります。
『建物が綺麗である、駅から近い、給料が良い、講義時間が多い、
忙しい or 忙しくない(経験症例数が多い or 少ない)、など』
各々のポイントがある病院を、さらに色々な情報を収集し吟味した上で、
病院を選び、見学へ行っている事でしょう。
しかし、1日の見学では、そもそも何もわからないと思います。
1日見学して皆さんが感じたと思うものは、実は雰囲気なんかではなく、
病院の大きさや、綺麗さ、立地、案内や説明してくれた人の優しさなど、
その病院の『外見』だけであると思います。
施設によって見学日や定員があり、場合によって難しいかもしれませんが、
ぜひとも数日間の見学をおすすめします。
(数日の見学で日程がきつくならぬよう、病院数は絞ってください。)
数日間来て頂けると、色々な先生達とコミュニケーションがとれ、
その病院(見学した科)の雰囲気を感じられると思います。
そこで得られる『雰囲気』が自分にとって居心地がよいかどうかが、
就職先を決める上で重要だと考えます。
激務であっても、職場の雰囲気や人間関係が良ければ耐えられそうですが、
忙しくないけど、雰囲気が悪く、人間関係も良くなければキツいですよね。
科を変えて、複数日見学に来られる学生さんも多いですよ。
どのような病院の見学に行けばよいかは、以下の3つがおすすめです。
人気研修病院(どんなものか体験してみる)
今、気になっていて就職したいと思っている病院(近隣病院も)
母校の説明会(コントロール群、知らなかったことが出てくることも)
雰囲気を感じようとしながら見学すると、
人気病院でも自分に合った雰囲気を感じなかったり、
母校は1日の説明会で十分ですが、研修スタイルがすごく良く感じたり、
まあまあだと思っていた病院の雰囲気がすごく良かったり、
人それぞれ色々と感じるハズです。
そして意外に、ココ良いなと思うところは1カ所だけだったりしますよ。
今はどの病院でも、ある程度の教育体制は整っていて、
研修医に向けた講義や実技指導(縫合やBLS、ACLSなど)なども、
多く組み込まれていると思います。
ですので、どこへ行ってもそれほど教育体制に心配はいらないと思います。
(始まればわかりますが、結局のところ知識ではなく、実践が大切です!
経験が多いほど確実に強くなるので、是非積極的に取り組んでください!)
重要なことは、初期臨床研修は2年で終わるということです。
『3年目以降をどうするのか』
見学時に、将来像がしっかりしていると、ワタシ達もありがたいです。
志望科はもちろん、
後期研修をどこで(医局 or 病院)行うかまでを考えている人は、
受け入れる側としても、指導しやすいです。
(ローテート中にウチの科で何を学びたいのかが、なんとなくわかります)
回ってくる時点での志望科で良いので、
「まだ決めていません」や「回りながら考えようと思います」ではなく、
学生の時に良かった科(実習で2年ほど回りましたよね)でも十分なので、話してください。
もし3年目のビジョンがないのであれば、
まだ時間はあるので下記を参考にして少し考えてみてください。
臨床医として働く場合は、
初期臨床研修終了後の選択肢は大きく分けて2つで、
大学医局に入局
後期研修医(初期研修と同じ病院、あるいは他院)
と、いった具合でしょうか。
大学医局に入局
入局をビジョンとして持っている先生方は、
研修病院がどこの大学の関連病院なのかを知っている事は大切です。
入局に関して話せば、一番勧められるのはその大学医局となるでしょう。
そして、初期研修医の時に入局希望者として研究会などで発表し、
医局員と顔合わせ出来る機会があるかもしれません。
行きたい大学の医局があれば色々と有利に事が進むでしょう。
顔もわかれば、3年目からの仕事も、スムーズに移行できそうですよね。
その後は研究や留学、さまざまなチャンスも多々あると思います。
医局員との交流もあり、人脈も多く持てるようになることでしょう。
大変なことも多いかと思いますが、ぜひ邁進してください!
後期研修医(初期研修と同じ病院、あるいは他院)
後期研修医として、同じ病院や他院で研修する場合もあります。
他院で研修を考える先生は、早めに見学に行った方が良いかと思います。(志望科を決め、2年目の春先には見学に行ってください。)
忙しい合間に行くことになるので、ローテーションしている科の
スケジュール調整をしっかり行う様に気をつけましょう。
3年目の4月からは、完全に他流試合となります。
(就職先には大学のローテーター、自院上がりの後期研修医がいます)
2年間でいろいろな経験を積んでから、挑んでください!
同じ病院で後期研修医として働きたい(残留)と考えている先生は、
その病院の後期研修を行いたい志望科が何人採用しているのか、
を調べておきましょう。(見学時にスタッフに尋ねてみましょう。)
人員の事なので、希望が通らないこともあると思います。注意が必要です。
後期研修の後は、
入局か、その病院で就職するかが大部分でしょう。
入局は大丈夫だと思いますが、
就職する場合は果たして本当に就職できるのかが大きな問題になります。
各科の常勤医師の数は決められいるため、そこの枠に入れるのかどうか、
先輩方でいたのかどうか、などを聞いた方が良いと思います。
3年目以降の話なのですが、医局を選ばず後期研修に進む場合は、
それなりの準備が必要となる事が多いのではないでしょうか。
これらの事を頭の片隅において、
将来像が描きやすい、叶いそう
自分の病院選択の決め手となるモノがしっかり入っている
雰囲気がとても合っている
上記に当てはまるような初期臨床研修病院を探すのをおすすめします。
将来、未来のことを考えている学生さんが見学に来ると、
「お、やるな」とみんなが感じます。
病院見学の際、案内してくれている先生と一緒に目上の先生に会った時、
「お疲れ様です。この学生さん、凄くしっかりしていますよ!」
「一緒に働けるといいですよね。」
なんて紹介してもらえたら、ラッキーかもしれませんね。
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