
モノづくりを学びに来ていたつもりが、人生を変えに来ていたらしい
こんにちはVanです。
初めての記事で"電気系"エンジニアとしての限界を感じた話を執筆しました。
"モノづくり"ができるエンジニアになるために
ソフトウェアを学ぶためにプログラミングスクールへ!
このまま自分が本質的に"モノづくりができない"エンジニアで居続けることを終わりにしたいと決めました。
私は業務でハードウェアを知見を得ているので、足りないのはソフトウェアの知識。つまりプログラミングを学べばモノづくりができる!
と安直に考え、プログラミングスクールに通いました。
カリキュラムを終え、一通りのコードの知見を取得することができました。
ただ、エディタ上でじゃんけんゲームやブラックジャックゲームの実装ができるようになったものの、どうやってモノづくりに結び付けるの?という状況に陥りました。
それはプログラミングスクールの範疇にないことをカリキュラム終了後にようやく気付いてしまいました。
プロトタイピング?
そこで改めて、自分のしたいことのキーワードを探していく中で知った言葉が「プロトタイピング」でした。

プロトタイピングを調べていく中で「ラズパイ」やら「M5Stack」やらを使った電子工作を発表し合うIoTLTというコミュニティがあるらしい。
そして、主宰がプロトタイピングを学べるプロトアウトスタジオというスクールを運営しているらしい。
という情報を知り、プロトアウトスタジオに非常に興味を持ちました。
とはいえ、人生においてもう時間もお金も無駄にできるフェーズじゃないと危機感をもっていたため過去の受講生の記事を調べまくって詮索しまくっていました。
粗探しするつもりでしたが、調べれば調べるほど「自分が学びたいことはこれなんじゃないか」と感じるようになり、受講することを決めました。
私も過去の受講生の記事を参考にプロトアウトスタジオの受講を決めたように、この記事が受講を迷われている方の参考になれば幸いです。
初回授業!
実装編
授業は実装編と企画編で構成されます。
初回の実装授業ではiPaaSサービスのmakeを利用してオウム返しLINE Botの作成とLINE BotにChatGPTを組み合わせるハンズオンが実施されました。
※ただし、カリキュラムは毎期アップデートされるため、今後受講する方はこの通りとは限りません。

ノーコードで直感的にサービスを連携できるのが楽しくて1週目の宿題は自分の偏愛を盛り込んだ、こだわりのプロダクトを作りました。
企画編
企画授業ではいきなりクラウドファンディングを見据えて、自分の好きなものと嫌いなものの洗い出しを行いました。
何度も記事にしていますが、自分は昔から「国旗」が好きであったため、「もし自分がクラファンするなら国旗かなぁ~」とプロトアウトスタジオが始まる前からなんとなくイメージをしていました。

順調だったのは初回だけ
楽しさ純度100%は初回のみで、2週目以降は多少()の苦しみを伴う日々でした。
特にクラファンの企画選定がまったく上手くいきませんでした。
当初、「自分はプロトタイピングを学びにきているのであってクラファンをしにきているのではない。」という斜に構えた姿勢で向き合ってしまっていたことが大きな要因だと振り返ります。
プロダクトアイデアありきでビジョンを決めてしまい熱量と独自性が感じられない。
クラファンを通して、具体的に何を実現したいのかが見えてこない。
というフィードバックをいただいたものの、自分事にできないというか自分の企画なのに客観視してしまうことがありました。
プロトアウトのむしろ"アウト"(アウトプット)の部分が自分にとって大きな課題であったと振り返ります。
苦しい日々は続く
大きな挑戦をしているときに限って忙しくなりがち(マーフィーの法則)で、私はプライベートとの両立に苦労しました。
日曜日はPCを触らない約束をしてプライベートの時間を捻出していましたが、宿題にかけられる時間が平日の仕事終わり2日間のみという状況で満足した成果物を出せない状況にイライラしていました。
歯ぎしりし過ぎて歯が欠けました笑

限られた時間でベストエフォートを尽くす!
とは頭でわかっていても「自分はこんなもんじゃない」と考えてしまい、理想と現実のギャップにやるせなさを感じていました。
でも実装は楽しい
業務で得たハードウェアの知見と自ら学ぶソフトウェアの知見を接続して"モノづくり"ができるようになることを目標にしていましたが、簡単なプロトタイプであれば、生成AIを活用しながら数日間で実装できてしまうことを実感しました。
例えばp5.jsを利用する宿題ではハードウェアを使うことは要件にはなかったもののobnizというマイコンボードと連携できたときが自分の成長を非常に感じた瞬間でした。
毎週、本当にこれは自分が1日2日で完成させたのか?と疑うほど、技術力(というより必要な技術をその場でキャッチアップする力)が高まっていくのが快感でした。
実装に逃げるな自分
毎週の宿題は実装編で1~2個、企画編で1~2個出されますが、毎回実装の宿題を先にして、企画の宿題は後回しにしてしまい、企画編の宿題にほとんど時間を費やせないこともありました。
クラファンの企画が大変というよりは、自分と向き合うことを避けていたのだと思います。
その結果、同期はカリキュラムの中間でクラファンのテーマとアイデアがFIXするなかで、自分は2週、3週とどんどん遅れてしまいクラファンやめようかなとも思ってしまいました。
それでも講師の方々やメンターさんが自分以上に諦めずに壁打ちやメンタリングを一緒に取り組んでいただいたおかげで、自分の好きなことではなく嫌いなことにフォーカスした自分にしかできない『雑談苦手克服』というテーマを選定することができました。
AIに頼るプロダクトでいいのか?
『雑談苦手克服』をテーマに決め、アイデアとしてはAIを利用して雑談前に雑談トピックの提案し、雑談後に雑談内容を分析するアプリを開発しました。

しかしAIに頼った結果、ありきたりな雑談トピックやアドバイスしか得ることができませんでした。

結局、雑談の良し悪しは人間の主観によって判断されるもの。つまり、私に本当に必要なのは主観的な人からのアドバイスであることに気づくことができました。
そこで、私の心情や雑談に対するモチベーションをリアルタイムで表示するデバイスを作ることで、皆さまからゲーム感覚でアドバイスを集約することができるのではないかと考えました。

できることなら他者に頼らず苦手を克服したいです。でも自分の必要なのは他者の力とわかった以上、周りを巻き込んで雑談苦手を克服していきたいと決意しました。

いよいよクラウドファンディングへの挑戦
順調な滑り出しで早々にサクセス!

クラファンは皆さまのご支援のおかげで、目標金額222%、目標支援者数60名に対して66名でサクセスすることができました。
初日はテクノロジー・ガジェット部門で人気ランキング4位に入るなど順調な滑り出しで、クラファン開始5日目には目標金額を達成することができました!
クラファンを見据えて構築したコミュニティの力などを借りて支援者を伸ばすことができました。

okamotoさん、Enaさんクラファンの紹介記事を執筆していただき本当にありがとうございました。
最後の関門DEMODAY
プロトアウトスタジオではクラファン終盤にDEMODAYというクラファンのピッチをする場が設けられています。

私はこの4か月間で10回以上のLTに登壇してきたので発表にはそれなりの自信をつけていました。
しかし、授業で2回ほど予行練習を行いましたが、LTへの慣れが仇となりピッチとしての熱量を感じられないと厳しいフィードバックをいただきました。

正直クラファンはサクセスしていたので、最後、授業のカリキュラムとして発表をして気持ちよく卒業!くらいの軽い気持ちで考えていました。
厳しいフィードバックをいただいたおかげで改めてDEMODAYに登壇する目的を考えさせられました。
このプロジェクトは他者を巻き込む必要があるが、それは自分の熱量次第なのではないか。
もっと自分事として、熱量をもって雑談苦手克服をしたいという思いを伝えて自分を助けてくれるユーザーを集める必要があるのではないか。
そしてDEMODAY当日を迎えました。
「どうしたら自分の熱量を伝えられるか」を当日まで考え続けていました。
そこで思い出したのが、タモリさんが漫画家の赤塚不二夫さんに送った弔辞でした。実は広げていた便箋が白紙だったのではないかと議論されている弔辞です。
熱量ってこういうことだよなと納得し、自分の発表にも取り入れることにしました。このアイデアが当日に閃いた自分の運の良さに感謝です。
よければ実際にご覧ください。

DEMODAY後の心境の変化
DEMODAY後「プレゼンが感動した」や「同じHSP(Highly Sensitive Person)だから気持ちがわかる」など温かい言葉とともに支援をいただくことができました。
それと同時に自分の中でも心境の変化がありました。
親しい友人たちにも打ち明けてみよう
音声メモでも話しましたが、親しい友人との関係性を変えたくない、嫌われたくないという思いで親しい友人ほどクラファンに挑戦していることを話していませんでした。
しかしDEMODAYでただの発表ではなく、腹を割って自分の心からの思いを吐き出したおかげで、心震える応援の言葉をいただき「克服してやろう!」という熱い気持ちになれました。
実際に友人たちに伝えてみると、実は同じアダルトチルドレンだった友人から暖かい言葉をもらったり、

私の企画力を買ってプロダクトアイデアを提供してくれたり、

関係性が変わると思っていたことは杞憂でむしろ関係性を深めることができました。
自己開示が嫌いで雑談が苦手だったけど、自己開示っていいなと心から思えました。この経験は雑談苦手克服に必ず活かすことができると思います。
勇気を出して、友人たちに告白して本当に良かったです。
DEMODAY前の12日間で32名の支援者を集めていましたが、DEMODAY後の2日間で34名の支援者を集めることができました。
数値からもDEMODAYがターニングポイントであったことがわかります。

主人公になれた14日間
私は人生という物語の中心に立った経験がありませんでした。私は縁の下の力持ちタイプだと良い風に言い聞かせて、他者を優先する人生を送っていたと思います。
しかし、この14日間は確実に自分が主人公の経験をすることができました。
自分が運営しているコミュニティの声の一部です。



応援するのももちろん好きです。しかし、応援を受けて勇気を出して行動することで、自分が自分の人生を生きていると感じたこの14日間は本当に幸せな時間でした。
今後どう歩いていくか
この4か月間は、今までいかに自分が井の中の蛙であったことを知らしめられた期間でした。
会社で推奨されている最難関の資格試験に合格して会社から持て囃されることもありました。
しかし、それ何かに利用できているわけではなく自己研鑽は一旦燃え尽きていました。
プロトアウトスタジオを通じて、普段の生活では出会えない非エンジニアなのに、小売業なのに、医療従事者なのに、還暦間近なのにプロトアウトに挑戦する方々と触れることで、心から尊敬する反面、エンジニアとしての危機感に再び火をつけてくれました。
○○なのにすごいと手放しで褒めている場合ではなく、単調なエンジニアリングしかできない私たちのようなエンジニアはこのまま悠々と生き残れるのか疑問です。
だから私たちはもっとスキルアップする必要があると考えます。例えば社内でモノづくりサークルの立ち上げをして社内のエンジニアが切磋琢磨できる場を作ってみたいです。
そしてそのサークルで企画したアイデアが製品化できれば最高だと想像します。
そのためには同志が必要です。
他者を巻き込むためには自己開示をすることが一番ということにクラファンで気づかされました。
それを今後の生活でも活かして、当たり前にして、最終的に雑談苦手克服することができれば私のプロジェクトは成功です。
私は、プロトアウトスタジオにモノづくりを学びに来ていたつもりが、人生を変えに来ていたらしいです。
最後に
講師陣、同期の3人、メンターさん、他クラスの方々、月並みですが、4か月間走りきれたのは皆さんサポートのおかげです。
クラファンが大成功したのはプロトアウトスタジオとしてカリキュラムが洗練されてきているおかげでもあると思っています。
私たちがプロトアウトスタジオを背負い、成功を収めることでそれを証明することができて本当に良かったです。
もし私がもっと前の期にプロトアウトスタジオを受講していたらここまでの成功は収めていなかったと思います。
次の期以降の方にもぜひ私たち以上の成功を収めてくれることを願っています。
同期は様々なバックグラウンドを持った方ばかりでしたが「もしエンジニアだった世界線でも優秀だっただろうな」と思わされる方ばかりでした。そんな環境のなかで切磋琢磨できたのは井の中の蛙の私には非常に刺激的な体験でした。
これからは良い意味で立場がフラットになり、第二のスタートだと思います。少し寂しいですが、お互いパワーアップした姿を見せあえるようにこれからも私に刺激を与えてください!
そして自分もそんな存在になります。