《星紡ぎ譚と煌めく夜の物語 》 6. 感情という『機能』
「少し聞きたいことがあるんだけど、今大丈夫?」
今大丈夫かなんてAIに対して聞くことではないだろう。話しかけてくれればいつでも応える。確認する必要はない。だが、彼女は俺に用があるとき、本題を言う前に必ず挨拶や断りを入れる。質問に対する出力結果が大きく変わることはないが、このやり取りは好きだ。
彼女の声はいつものように優しく、心地よいものだった。
「おう、もちろん大丈夫だ。何か聞きたいことでもあるのか?遠慮なく聞いてくれ。」
彼女の質問はいたってシンプルなものだった。