点からは絞り出せないことを知る|News Diet
読んだ本のアウトプットも兼ねて、読書の記録を。いいなっと思ったものを見つけるきっかけになったら嬉しいです。
●今回の書籍
News Diet (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2021/2/10
ロルフ・ドベリ (著), 安原実津 (翻訳)
0. 手に取った訳
最近情報が多すぎて頭が疲れ気味だったこともあり、手に取って読んでみました。
『Think clearly』で有名な著者の最新作です。情報がいつでも、どこからでも手に入れられるようになったのが”便利”だと思っていたところ、それを真っ向から反対する本でした。
1. 無意識に情報を見ていることに気づく
ピュー研究所によると、2010年に平均的なアメリカ人がニュースに費やした時間を、1日70分(テレビ32分、ラジオ15分、新聞10分、ネット13分)と見積もっています。
自分では意識していなくても、気づくと結構な時間をニュースに費やしているのかも、と思いました。
スマホや電車のテレビ、YouTube、、、生活のすぐそばに気軽に手に入る情報が増えてきた昨今、受け身的に情報を収集する機会が増えたなと感じます。
あなたの人生における重要なこととニュースには、なんの関連もない。
この言葉を読んだ瞬間に、「自分にとって重要だったニュースって、思い返すと指で数えられるくらいしかないな」と思いました。
2. 短文しか集中力が持たなくなることに気づく
本を読みながら、テレビからYouTubeを見るようになって、自分の集中力が短くなっていることに気づきました。
テレビは見たい番組を見ているとき、CMが短くても15秒、長いと60秒もあった中で、それをぼーっと眺めていられました。
ところが、YouTubeを見るようになってからは5秒で広告をスキップしたくなっている自分がいることに気づきました。
ニュースも一緒で、短文で情報収集できるようになったのは楽な一方で、その生活になれてしまうと長文読解する体力が低下してしまうようにも感じました。
短文で世界のニュースの本質が見えてくるはずもなく、そして、自分にとっての重要事項のニュースの方が少ない。でもなんとなくニュースを見ている自分もいる。
点から絞り出そうとするな
ニュースという《点》だけでは本質は分からない。点で集めるのに時間を割くのではなく、本や学術雑誌など、目の前にある気軽な情報をかき分けて本質を取りに行くことの大切さを感じました。このことを認識できただけでも、この本を読んだ価値があったと思いました。
3. 心に残った言葉たち
もしあなたが何かの教義に心酔している様子の人に会ったら、「あなたの世界観を手放さざるを得ないのは、どんな出来事に遭遇したときですか?」と尋ねてみよう。
ニュースを消費すると、「世界は実際よりも単純で説明可能だ」という錯覚に飲み込まれ、あなたの「決断の質」は損なわれてしまう。
彼らが伝えるのは、(a)新しく、(b)インパクトのある画像が撮れ、(c)一人の人の運命から記事を展開できる惨事のみだ。
4. 著者について
ロルフ・ドベリさんはスイス生まれ。30代前半という若さでスイス航空の子会社数社で最高財務責任者やCEOを務めた経歴を持っています。著書は40以上の言語に翻訳される、ベストセラー作家という肩書がしっくりくる人です。