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短歌

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短歌の記事まとめです
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#記録

短歌 005

満員のスタバでココアを啜る昼
なれない銀座で暇するわたし

喉元のフラッシュバックの感覚で
食事するのが怖くなる夜

鳴る腹がきゅりきゅりぐるんと続いては
涎の海に溺れたねずみ

年末の無敵感には溺れずに
ゆっくりよく噛んで食べる蕎麦

一年の抱負などすでに忘れてる
頃になったら迎えにきてね

虫寄せる黄色いダウンが日を受けて
歩く歩く背中はびっしょり

知ることは楽しいからと本を読む
それで本当

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短歌 004

泣き虫の君から流れる液体を
すべて集めて僕になるんだ

ぺてぺてと響く静かな授業中
保健室までの道のりは長く
(うたの日2022/12/03「廊下」)

途中まで見ていた動画を止めるとき
寂しい無音が耐えられないわ

目眩のするような朝、トースト、目玉焼き
バターナイフを突き刺してケチャップ

「愛してる」「ほんとう?」背後の熱が訊く
「本当」小声で目を合わせずに
(うたの日2022/12/04「

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短歌 001

だれにでもそういうことはあるでしょう
納豆のねばねば髪に付いたり

自分とは向き合うことが億劫で
ノイズキャンセルはそのためなんだ

本をめくる音、質感、しなる紙
文字だけじゃない、ここにあるのよ

乾燥機が部屋を暖めてるから
ばあちゃんがすーっと眠ってる

団地での下校の美しさは清く
中学生が窓で絵画に

「鶏肉も食べられるのよ最近は」
呆れたように微笑むばあちゃん

「ハチミツが欲しいんだよね

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