短歌 004
泣き虫の君から流れる液体を
すべて集めて僕になるんだ
ぺてぺてと響く静かな授業中
保健室までの道のりは長く
(うたの日2022/12/03「廊下」)
途中まで見ていた動画を止めるとき
寂しい無音が耐えられないわ
目眩のするような朝、トースト、目玉焼き
バターナイフを突き刺してケチャップ
「愛してる」「ほんとう?」背後の熱が訊く
「本当」小声で目を合わせずに
(うたの日2022/12/04「浮気」)
赤が光る道路の向かいの信号機
曇った眼鏡に主張をしてる
雲のない淡色滲む夕焼けは
何色ですか、鉄塔が指す
黄金色の肌がうっすら色抜けて
冬の始まりを告げる手元
「電柱の灯りが点滅してる、見て」
「愛してる?」「いや点滅早すぎ」
頭蓋骨を絞める痛みと闘って
短歌を詠んでるそれはどうなの
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