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おいしいおいしいぼくのらんち

かーちゃんがたべてるおかずがほしい!
かぼちゃ!もやし!きのこ!
おにく!!おにくもっと!!!
でざーとのかぼちゃぷりん、なんでさいごのひとくちをかーちゃんがたべるんだ!!!

小さなごはん屋さんの座敷の個室で、息子の怒りの泣き声を度々響かせてしまった。

今日、育休中の職場の同期と、久々に会ってランチに行った。
彼女は1歳3か月の男の子を、私は来月3歳になる息子を連れて。
行先は、お子様メニューも充実している、地元の女性たちを中心に大人気のお店だ。
おばんざいを組み合わせた日替わり定食が目玉で、どれもこれもとても優しい味だ。外食特有の味が濃い感じは一切なく、よく噛んでじっくりと味わいたくなるような素敵な定食である。


今日の日替わり定食は写真の通り。

味噌だれのチキンカツは衣がサクサク、お肉もしっとりしていて油っぽくなく、かかっている味噌だれも丁度良いアクセントだった。
カレー味のえのきときのこの炒め煮も、もやしの和え物も、ほっこり甘いかぼちゃも、サラダのドレッシングも、私たちの身体に寄り添ってくれるようなほっこりとした味だった。

息子には、お子様メニューの中で彼の好きなミニうどんをチョイスした。
出てきたうどんは、子ども用に長い麵を短めにカットしてくれていたり、具材も小さめに角切りしてくれていたり、子供向けに細やかに配慮されているのを感じて感動した。
量もいつもの家のうどんよりは多く見え、息子も美味しそうにちゅるちゅると食べている。
同期のお子さんは、持ってきたベビーフードをお母さんに促されながら食べ進めている。

息子は噛むことが苦手なスーパー早食い幼児なので、いつも両親より早く食べ終わり、もっともっととせがんでくるのが定番なので、これで満足しないことは予想できた。
しかし、今日の息子の私のおかずへの執着具合は予想の斜め上だった。
私がまだ残しているおかずを全部くれと言わんばかりのこれちょーだい!具合である。
追加で唐揚げを3個注文し(思ったより大きかった)、それもとても美味しそうにかじっていたのだけれど、なおも満足する様子はない。

どうやら、今日の定食は息子にとってよほど魅力的に映ったらしい。
きのこを食べ、もやしを何回もおかわりし、私が残していたかぼちゃをほぼすべて食べ、もうさすがにお腹いっぱいだよ…と私がチキンカツをあげなかったところ、遠慮のない阿鼻叫喚が始まってしまった。

確かに言われてみると、息子は単品メニューをたらふく食べて満足したことはほぼない。
スープは?お野菜は?と常に品数を求めてくるのだ。
私も夫も別に品数を意識して毎日食事を出しているわけではないけれど、ご飯と具沢山味噌汁と適当なヘルシー副菜を食べてもらうことを何となく意識していたら、いつの間にやらそうなってしまった。

なるほど。確かにボリューミーなうどんでは彼は満たされないわけだ。

同期も話しかけたり持っていたおもちゃを分けてくれたりと図らってくれたけれど、息子の注意が食事から逸れる様子はない。
最後にお店の人が、子ども用にと用意しているたくさんの絵本たちを持ってきてくれて、やっと機嫌を直してくれた。

何とか絵本で阿鼻叫喚がおさまり、私も同期も食事を終えた頃、二回目も山場がやってきた。食後のデザートである。

1つのかぼちゃプリンを「かーちゃんと二人ではんぶんこしようね」と話してちょうど1/2くらいの量に分けた。

しかし、私が自分の取り分の1/2を食べたところ、またものすごい剣幕で怒られてしまった。
どうやらそのかぼちゃプリンがよほどお気に召したらしく、私の分を半分くらいもらえなかったことが不満だったようだ。(少しはおかわりをあげたのだけれど)
二回目の阿鼻叫喚が始まり、私は「おいしかったね、もっと食べたかったんだね。」とただただ息子に共感して慰めることしかできなかった。
結局、最後は機嫌を直してお店を出ることができたのだけれど、息子の気持ちをもっと考えてあげたらよかったのかなぁ、と反省している。

なぜここまで息子は今日のランチに執着していたのか。
ただひとつ、私にとってもランチはものすごく美味しくて、できるだけ自分で食べたかったのである。
「あぁ息子に美味しいランチがどんどん奪われてしまう」
そんな気持ちが伝わるから、息子の主張がおさまらなかったのだろう。

同期とは久々に少し話せたし、息子より小さいお子さんを見て息子のその頃を思い出して懐かしかったし、何よりランチはバタバタながらもとても美味しかったし、間違いなくいい時間ではあった。落ち着いた息子が気に入った絵本を同期のお子さんに読んであげているシーンなどは、本当に尊かった。
そして、間違いなくそのお店にはまた行きたいと思う。
けれど、これからこういう場でどう折り合いをつけるか、息子と話しながら考えていかなければ…と勉強にもなる時間だった。

食べるのが大好きなのは嬉しい。美味しい野菜を美味しいと感じてくれるのはとても嬉しい。私は確実にそうなってほしいと願ってここまで育児をしてきた。
願いは現実になっているはずだ。あとは場面に応じた乗り越え方と、息子の満腹中枢の育成だろうか。

明日は、息子が絵本で注目していたピザトーストを作ってみよう。
母と息子、同じ大きさで。

私も半分くらい、食べられたらいいな…笑


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