ぶらうん太郎

関西出身、温泉がある田舎町に住む一児の母。子育て中の小さな小さな日常を中心に、エッセイをしたためています。旅とゲストハウスとローカル線と産直とおいしい食べ物と文章を書くことが好き。

ぶらうん太郎

関西出身、温泉がある田舎町に住む一児の母。子育て中の小さな小さな日常を中心に、エッセイをしたためています。旅とゲストハウスとローカル線と産直とおいしい食べ物と文章を書くことが好き。

マガジン

  • 2022〜2024年生まれを育てるパパママの共同運営マガジン

    • 442本

    2022、2023、2024年に生まれた子どもを育てる親の共同運営マガジンです。近所の子どもの同級生を見守るような感じで、他の人の育児日記を読んで一緒に子の成長を喜んだり、パパママあるあるや悩みに共感したり、そっと応援する気持ちで「スキ」を押し合ったり。そんなマガジンがあったら素敵だなと思って作りました。

最近の記事

最初で最後のありがとう

 母の実家である亡き祖父母の家が、11月に取り壊されることになった。  幼い頃、長期休暇や年末年始になると決まって訪れ、いとこ達と遊んだ大きな平屋の古屋敷。最後に仏壇仕舞いをするよ、と母から聞いた私は、仕事の休みを取り、思い切って行くことにした。 1泊2日の弾丸日程。片道およそ4時間半、特急列車と新幹線と私鉄を乗り継ぎ、350キロの道のりを、2歳の息子と二人で。  もちろん、思い出の詰まった祖父母宅を最後に見ておきたいという理由もある。けれど、わざわざ仏壇仕舞いの日に行くのに

    • 時期尚早だけれど、思い切ってインタビュー講座を受けてみた

      毎日読ませてもらっているライターの江角悠子さんのメルマガで、「インタビュー体験講座『取材ができるライターになろう!』」なるものが開講されることを知った。 「書いて、しあわせになる」をコンセプトに発信をされている江角さんには、日ごろから主催するオンラインサロンに入らせてもらったり、記事の添削をしてもらったりとたいへんお世話になっている。こんな風に書きたいな、こんな思いをもって働きたいなと憧れるライターさんだ。 インタビューが体験できる!?めっちゃ楽しそう…!! でも…私は地

      • しましましまこんにちは

        遅めの昼寝から息子を起こし、お昼に近くのカフェで買ってきたパイナップルケーキを食べさせた。 おいしいね、とバクバク食べてくれたけれど、食べ終わると浮かぬ顔である。ぐずぐずふにゃふにゃとこちらの気を引き、抱っこ抱っことせがんできた。 おやつが余程おいしくて、終わってしまったのが残念なのだろうか。 それとも、数日前から引いている鼻風邪の具合が悪いのだろうか。 いや、単に寝起きが悪くて眠いだけかもしれない。 実は私も最近ずっと体調が優れず、そこに息子の鼻風邪をもらって鼻がズビズビ

        • 普段しないことをしたら気分が上がった話

          職場の昼休み。普段は家から持って行ったお弁当をモソモソと食べているのだけれど、最近あまり食欲がないこともあって、気分を変えてみるか、と週に4日ほど営業している人気のベーカーリーに自転車を走らせた。雨が降り始める前で良かった。早く早く、と自転車をこぐペースも強くなる。あのベーカリーのカスタードクリームドーナツが食べたい。食べたい。 このお店を訪れるのは数回目だけれど、いつも狭い店内には開店を待ってましたと言わんばかりのわくわくした顔をしたお客さんがいる。(そして私も多分同じ顔

        マガジン

        • 2022〜2024年生まれを育てるパパママの共同運営マガジン
          442本

        記事

          息子、う○い棒デビュー

          息子は、初めてのう○い棒デビュー(サラミ味)を果たし、とてもとても良い顔をした。 むふふ、こんなにうまいものがあるのかいいことを知ったぞ。 と言わんばかりに。 あっという間に平らげ、ベトベトの手と口で満面の笑みを浮かべた。 今日はイベント盛りだくさんの土曜日。 朝から家の近くの駅の広場で開催された乗り物フェスタに繰り出し、息子は救急車と消防車と除雪車と…まぁとにかくあらゆる乗り物に出会ってきた。そしてどの車でも運転席に乗り、押せるボタンは全て押した。動かせるレバーは全て動か

          息子、う○い棒デビュー

          スーパーウェットな保育園の運動会はやっぱりスーパーウェットだった その②

          先日の運動会。未満児の息子がクラスのお友達と一緒にいたり、個人種目をやり遂げたりする姿を見て、胸にじんわりと広がる温かな気持ちを抱いた。それはそれでとても感動的で幸せだったのだけれど、ひとたびもう少し年上、特に年中・年長さんの演技や競技となると、ひたむきに取り組む姿が本当に健気で格好良くて、心打たれる場面がたびたびあった。心臓を鷲掴みにされて、思わず息をするのも忘れてしまいそうになるほど。 プログラム序盤、息子たちが楽しそうにリズム運動(先生が弾くピアノに合わせて身体を動か

          スーパーウェットな保育園の運動会はやっぱりスーパーウェットだった その②

          スーパーウェットな保育園の運動会はやっぱりスーパーウェットだった その①

          1週間の仕事を終えた金曜日の晩。私は100均で買った長方形のゼッケンに、極太マッキーで息子のクラスと名前を書いた。 大体のレイアウトを決めて書き始めたはずが、字の大きさを誤って下の名前が入らなくなりそうになったり、乾いていないインクでゼッケンが汚れたりと、なかなかうまくいかない。 悪戦苦闘しながら何とか書き上げたゼッケンを、息子の白いTシャツにアイロンでぺたりと貼り付けた。いろいろと苦戦した痕跡が見える仕上がりだが、まあいいだろう。 明日は、親子で楽しみにしていた運動会であ

          スーパーウェットな保育園の運動会はやっぱりスーパーウェットだった その①

          雨の日の夜の後日談

          バケツをひっくり返したようなゲリラ豪雨の中、息子を自転車に乗せて保育園から家に帰ろうとするという無茶苦茶に無茶なことをしていたところ、通りかかった保育園の先生が見かねて車に乗せてくれた。そんな9月のあの日。 あの日の後日談がある。 スマートフォン、水没により故障帰路で浴びた豪雨の水滴が、カバンの中にいくらか入り込んでしまったようで、少し水滴を浴びた私のiPhoneは、見事に故障した。 いやいやそんなことで!?と思われるかもしれない(私も思った)。カバンの中に水たまりがで

          雨の日の夜の後日談

          いつかトトロに会える日が来ると、大人になっても信じている

          好きな映画は?と問われると、迷わず「となりのトトロ」と答える。 初めてこの作品と出会った、小学校にあがる頃から、ずっと。 恐らくほとんどの人がタイトルくらいは知っているだろう、そして大体の人がちらりと見たことくらいはあるだろう、そんな言わずと知れたスタジオジブリ 宮崎駿監督の名作である。 都会から田舎へ引っ越してきた草壁家の元気な姉妹(姉 サツキ 妹 メイ)と、その両親や周りの優しくあたたかい人たちとの日々が、日本の里山の原風景と共に描かれている。そして、子どもたちだけが

          いつかトトロに会える日が来ると、大人になっても信じている

          怖がることはないとわかっているけれど

          (普段、主に日常の些細なことをネタに育児エッセイを書いていますが、今回は仕事の、それも少しネガティブな内容を含みます。) 「最近うちの課の方々めっちゃ怖いんですけど!どうしたらいいですか!」 仕事で関わりのある業者さんとの打ち合わせに向けて、会議室の机を並べながら、私は準備を手伝ってくれていた上司(以下、小ボス)に、微妙にハイなテンションで話しかけた。 執務室から離れた会議室に二人きりという環境が、私を饒舌にする。 「主にAさん(男性)とBさん(男性)が言ってる悪口、ひど

          怖がることはないとわかっているけれど

          ぼくはかっこいいおにいちゃん

          2歳8か月になった息子には、最近弟分(のようなもの)ができている。 1つ目は、新幹線「はやぶさ」があしらわれたリュック。リュック全体がはやぶさの顔(先頭車両)のデザインになっていて、エメラルドグリーンが息子にとても似合っている。平日は保育園に持っていくタオル類や連絡帳、休日は遊びに行くときの着替えや水筒なんかが入る。 私たちが朝にバタバタと仕事の準備をしているのを見て、「ぼくもおしごとのじゅんびする~かばんもってく~」とおままごとの食べ物や積み木を小さいトートバッグに入れ

          ぼくはかっこいいおにいちゃん

          この海をいつまでも見たいから

          先月、家族で訪れた北海道の奥尻島は、まさに人々が海と共に暮らし、海と共に生きているようなところだった。 私は海なし県に住んでいるので、普段の生活で海を意識することはあまりない。近くを流れる川が最終的には海につながっていると頭ではわかっているけれど、海というのは何となく自分の暮らしの遠いところというか、非日常のようなイメージだった。 奥尻島を訪れ、久々に間近で海を見てテンションが上がった。それも、奥尻ブルーと呼ばれる、吸い込まれそうに澄み切った海を。 しかし、この旅行で海

          この海をいつまでも見たいから

          まったくしょうがないなと神様が手を差しのべてくれた話

          どうしよう。帰れない。 バケツをひっくり返したような、という表現がまさにふさわしいレベルの雨に打たれながら、私は途方に暮れた。 側溝からは雨水があふれ出し、すでに足首近くまで浸かっている。靴が水を含み、重たくぐっしょりとして不快だ。そんな中、私はいつも愛用している電動アシスト付き自転車の横に立ち、自転車が倒れないように必死にハンドルを握った。同時にもはやあまり意味をなしていないビニール傘を左手で差しているものだから、自転車はふらふらと不安定だ。 自転車の後ろに付けた幼児用の

          まったくしょうがないなと神様が手を差しのべてくれた話

          【子連れ旅行記その⑤】息子が寝た後に

          奥尻島で過ごす最後の夜。息子を寝かしつけると、外はもう真っ暗だった。ふと部屋から窓越しに夜空を見上げた。私は迷わず外に出た。 そこには、無数の星たちが瞬いていた。 旅の始まりから毎日それなりに明かりの少ないところに宿泊していたけれど、これまでの4日間は毎晩曇り空で、星たちを見ることはできなかった。奥尻島で過ごす最後の夜、久しぶりにすっきりと晴れ渡り、こぼれんばかりの星空と出会えた。 何かの目印なのか、海の向こうでぼんやりと緑の明かりが時折点滅するのみで、辺りはほとんど街

          【子連れ旅行記その⑤】息子が寝た後に

          【子連れ旅行記その④】息子と海遊びと神威脇温泉

          前日からの雨はすっかり止んで、よく晴れた朝だった。そういえばもともと旅行中に台風が接近する予報で、飛行機が欠航すると困るから1日前倒しで島を出た方がいいかも、なんて夫と話していたのはいつのことだったか。たまに見るスマホ通知によると、台風は私たちの旅に間に合わないらしく、快晴の奥尻島を満喫できそうだ。願えば晴れるらしい。 この日は前日買い出しをした食材を使って、家で過ごす朝のようにお味噌汁を作った。外食が続いていたから、久々に馴染みのお味噌汁が美味しい。息子もいつも通りお味噌

          【子連れ旅行記その④】息子と海遊びと神威脇温泉

          【子連れ旅行記その③】雨の日のドライブ

          カヤックを満喫して、奥尻島で迎えた初めての朝。宿は素泊まりだけれど、前日なんの買い出しもしていなかったので、宿で販売している島でとれたカレイの開きを焼き、同じく1合単位で販売しているお米を炊いて朝ごはんにした。もともと民宿だったらしい宿の台所は広くて動きやすく、普段住む家のシンクが狭いからなのか、広々使えるシンクはとても快適だった。食材が置いてあるともれなくハエがたかり、辟易としそうなところだれど、前日の余韻なのか、まあ虫さんたちの住処でもあるもんな、程度に流せてしまうのはな

          【子連れ旅行記その③】雨の日のドライブ