棺桶の女性の夢《Dream Diary 03》
xxxx年4月26日(x)その1
未来的な形態のビル群がキラキラと光を反射し合っている。私はそんな都市のビルの一室にいた。広いスペースの中にまるで棺桶のようなジュラルミン製の直方体が置いてあり、その上蓋が音も無く開くと、中から女性がむっくりと起き上がってきた。メタリックなシルバーとグリーンのバトルスーツを身に着けた彼女は、直方体から出ると私の方に向き直り、ゆっくりとした足取りで近付いて来る。私の前で停止するかと思ったが、戸惑う私にお構いなく接近して身体を押し付けて来る。私は困惑したが、すぐにこれはセクシャルな誘惑ではなく、単に物理的に私の身体を圧迫したいのだと分かった。彼女の身体の圧力に耐えかねて、私はやがて意識を失っていった。気が付いたら、女性は蓋をした直方体の上に窓の方を向いて座り、夕陽でオレンジ色に染まった都市のビル群を眺めている。後ろ姿のうなじや肩先のカーブから、彼女は孤独なのだと感じた。だがそれは、私とは何の関係も無いのだった。