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おきよ
事務机の引き出しを開けると
そこには丘陵みたいなものがあり
頂きの白っぽい通信塔から
ヒトの鼻の嗅球に
オカラみたいなものを放射する
丘陵みたいなものに立つと
向こうに海みたいなものが見えて
輪っかのある惑星みたいなものが
半分くらい沈みかけていて
惑星みたいなものに立つ建物には
おきよという事務員がいる
望遠鏡で覗いてみると
おきよは黒い腕ぬきを外し
経理の仕事を放っぽり投げて
向井のチヨミ姉さんという
ブガルーパンツ女と出奔した
二人がしけ込んだ温泉宿は
わが社の裏手の草むらの中の
井戸の底にあったので
オカラみたいなものが
マリンスノーのように降る水の中で
二人はブガルーダンスを踊りながら
じゅるりと白骨化していった
私ははなはだ遺憾である
わが社の帳簿はどうなるのか
超零細自営業者は確定申告の季節
あきまへんわもう三月
ヒタヒタと迫り来る申告期限
たまらず私は叫ぶのだ
おきよ!
おきよ!
帰って来い
おきよ!
チヨミ姉さんとは別れてくれ
白骨化チョーOK
わが県の最低賃金をちょっと上回る
時給940円のパートで
どう?
というわけで
日々の事務処理からは
すえた骨の類いと
オカラの臭いが漂うのです
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